【社説】露骨化する北の遅延作戦、中国が制裁を解除すれば非核化は水の泡

 米国のポンペオ国務長官は27日、米上院の聴聞会で「北朝鮮が完全かつ検証可能、不可逆的な非核化(CVID)を約束しなければ、交渉の場から席を立つ」と明言した。同じ日に米ホワイトハウスのボルトン国家安全保障補佐官は会見で「北朝鮮が非核化を直ちに実行に移すことを願う」と述べた。6月12日の米朝首脳会談からこの方、北朝鮮による非核化の履行が進まないことについて、米国でついに不満の声が出始めたのだ。
  ポンペオ長官は当初、6月12日の米朝首脳会談直後に「北朝鮮とは引き続き協議を始める予定」と発表したが、実際に訪朝するのは来週ごろと報じられている。トランプ大統領は「北朝鮮はすでに核廃棄に着手し、近く目に見える措置が出てくるだろう」などと述べたが、実際のところそのような動きはまだ感知されていない。そのような中で米国の北朝鮮専門サイト「38ノース」は衛星写真の分析結果から「北朝鮮の寧辺核施設でインフラ工事が急速に進んでいる」と報じた。
  米朝首脳会談の際、米国は合意文にCVIDの明記を求めたが、北朝鮮はこれを強硬に拒否し、南北首脳会談後の板門店宣言にある「完全な非核化」という表現にこだわったという。実はその時点で今の状況はある程度予測されていた。北朝鮮は非核化という言葉の意味を自分勝手に解釈し、自らの計画に基づいてこれを進めようとしているのだ。
  その上さらに懸念されるのは、トランプ大統領が首脳会談で北朝鮮経済の将来の発展に言及したことで、中朝国境付近が騒がしくなっていることだ。北朝鮮に対する制裁で中朝貿易にも一応ブレーキはかかっているが、実際はすでにほころびが見え始めており、そのような雰囲気も影響してか、米PBS放送によると中国丹東の不動産価格はすでに高騰しているという。北朝鮮を訪問する中国人観光客も増加しており、丹東発平壌行きの鉄道の切符は7月中旬まで売り切れたとのニュースも伝わっている。このような形で中国がいつしか北朝鮮への制裁を緩和すれば、北朝鮮の非核化は文字通り水の泡になってしまうだろう。
  米国が北朝鮮の時間稼ぎを察知し、今からでも警戒を始めたことはそれでも幸いなことだ。早くも軌道離脱の兆候が見られる北朝鮮の非核化を元に戻すには、これまで困難な中で構築した対北制裁網が緩まないよう改めて引き締める以外に方法はない。トランプ大統領が本当に北核問題の解決を自らの功績にしたいと考えているのなら、中国の習近平・国家主席に中朝国境地帯の取り締まり強化など強く協力を求めるべきだ。韓国政府も南北鉄道連結の協議やスポーツ会談、赤十字会談など南北首脳会談で合意した内容の履行にばかり熱を上げているときではない。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/06/29/2018062901246.html

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