【萬物相】恵化駅現象

 「娘がフェミニズムのコミュニティーに加入し、恵化駅の集会が開かれるたびに出掛ける。おかしなことを言うとにらまれる」。数日前に会ったある企業の役員は「このごろ、家では発言の自由がない」と語った。大げさな言葉には聞こえなかった。20代の娘を持つ50代の父親は、「恵化駅現象」を知らないと子どもと話をするのも困難だという。5月に1万2000人で始まった恵化駅の集会は、7月6日には主催者推定6万人という規模にまで膨れ上がった(警察の推定では1万9000人)。参加者の大多数は20代から30代の女性だ。
  恵化駅の集会は、女性を狙った盗撮犯罪の根絶を掲げてスタートした。それが、職場や家庭、社会で女性の直面している不利益を糾弾する場へと拡大している。今の20代・30代の女性は小学校時代から大学まで、同じ年ごろの男性と対等に競争してきた世代だ。この女性たちが、社会に進出してぶつかった差別に我慢できず、声を上げ始めた。
  20-30代の女性たちは、サイバー空間の論争でも後に退かない。「韓男虫」(韓国の男性+虫)、「コンチ男」(金を使わない幼稚な男)はまだ愛嬌(あいきょう)ある方だ。「息継ぎ一」(男は息をするたびに一発殴られるべき)、「小チュ民国」(性器〈コチュ〉の小さな男が集まっている国)といった表現もざらにある。男性が使う女性嫌悪の表現を、全く同じように切り返している格好だ。
  韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が国務会議(閣議)で、弘益大学ヌードモデル盗撮事件を巡り「偏った捜査ではない」という趣旨の発言をしたことが女性たちを刺激した。7月第1週の集会の出席者らは、文大統領に向かって「ジェギヘ」しろと叫んだ。「ジェギヘ」とは、女性たちが韓国の男性を批判する際、「自殺しろ」という意味で使う言葉だ。漢江に飛び込んで死んだ男性連帯の故ソン・ジェギ代表の名前をもじった。恵化駅の集会を訪れた女性家族部(省に相当)の鄭鉉栢(チョン・ヒョンベク)長官の「生々しい声を忘れない」という書き込みが、今度は文大統領の支持者を刺激した。「大統領を冒涜(ぼうとく)する激烈デモに同調した」として、鄭長官解任を求める韓国大統領府(青瓦台)の国民請願には4万人以上の署名が集まった。ほとんどは男性支持者だろうという。
  現政権の支持層といわれる20-30代の女性たちが大統領攻撃に乗り出したのは異例だ。それほどにこの問題はデリケートで、対立は鋭い。若い女性は韓国社会に残る性差別に怒り、盗撮の不安に苦しんでいる。若い男性は、女性のせいで自分たちが逆に被害に遭っていると怒っている。南北、東西、階層、年齢など韓国社会の対立戦線から「男女」が外せなくなる段階に迫りつつある。皆が知恵を出し合うべき事態だ。 金基哲(キム・ギチョル)論説委員

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/07/27/2018072701974.html

コメント

このブログの人気の投稿

MBNの業務停止効力中断

「19世紀式の自主にかまけた586世代、20?30代の登場が望まれる」

韓国政府の救援隊がラオスに出発 医療スタッフら20人