脱北従業員を調査する韓国国家人権委、KALハイジャックは調査見送り

 中国の北朝鮮レストランから女性従業員らが集団で脱北した事件について、韓国の国家人権委員会が職権で調査を行うことを決めた。しかし委員会は1969年に起こった北朝鮮による大韓航空機(KAL)ハイジャック事件について調査を求める声には「高度の政治的問題」との理由で却下した。
  人権委によると、KALハイジャック被害者家族会のファン・インチョル代表は昨年5月、委員会に対し「(韓国)統一部(省に相当)が身柄を取り戻すことに消極的だったため、父の人権が侵害された」とする内容の陳情書を提出したという。KALハイジャック事件とは1969年12月、江陵から金浦に向かっていた大韓航空機が北朝鮮工作員によってハイジャックされ、機体ごと北朝鮮に連れ去られた事件のこと。当時の乗客乗員50人のうち39人は韓国に戻ったが、11人はいまだに戻っていない。ファン会長は事件の際、北朝鮮に連れ去られたファン・ウォンさん(当時32歳)の息子だ。
  人権委はファン氏の陳情に対し、先月20日に却下の決定を下した。理由は「人権委の調査対象ではない」というもの。人権委は却下の決定文で「拉致被害者の送還について人権委が個別に調査を行うのは適切ではない」「父親の拘束などを解決する方法は国内外の情勢および諸般の事情に伴う高度な政治的・外交的問題」との見解を示した。
  ファン代表が人権委に陳情書を提出したのは今回が3回目だ。1回目の2010年、2回目の17年のいずれも人権委は今回と同じく却下の決定を下した。人権委の関係者は「2016年に起こった北朝鮮レストラン女性従業員集団脱北とは異なり、KALハイジャック事件は50年も前に起こった。現実問題として人権委が調査を行えるような事案ではない」とコメントした。人権委は「政治的事案」という言葉の意味を尋ねる質問には回答しなかった。
  国家人権委員会法は人権侵害行為や差別行為などに対する調査や救済を人権委に義務付けているが、人権委はファン氏の陳情について、人権委法第32条1項「人権委による調査が適切でないと認められた場合は却下できる」との条文に基づき却下の決定を下した。人権委の関係者は「ある陳情についてそれに対する調査が適切かどうかは調査官が判断する」と説明した。
  人権委による却下の決定について北朝鮮人権団体は「民主社会のための弁護士会(民弁)が『国家情報院による拉致』と主張している北朝鮮レストランの女性従業員問題については調査を行い、北朝鮮政権によって拉致された韓国人の人権については政治的問題との理由で顔を背けている」と批判した。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/07/31/2018073101050.html

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