【社説】「所得主導成長」の誤り、文政権内に直言できる人はいないのか

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が先週末、与党の党大会に送った映像による祝辞で、「大韓民国の大統領として、自信を持って申し上げる。我々は正しい経済政策基調へと向かっている」と述べた。「最近心配の声が多いが、全体的に見れば雇用の量の質が改善した」とも語った。全般的な家計所得が増えたとし、よく見れば好転した数字もあると指摘した。
  大統領の発言通り、個別に見れば好調な指標もある。例えば、4-6月には家計所得が全体では前年同期比で4.2%増えた。2014年1-3月以降で最大の伸びだ。しかし、所得格差が過去10年で最悪の状況へと拡大した。所得全体が伸びたのは、下位60%の所得が減少し、上位40%の所得だけが大幅に伸びたからだ。二極化の解消を最優先課題の一つとして掲げる政権が誇るべき状況ではない。
  こうした中、大統領府(青瓦台)の張夏成(チャン・ハソン)政策室長は26日、記者懇談会を開き、「最近悪化した雇用・家計所得指標は、所得主導成長の放棄ではなく、むしろ所得主導成長をスピード感ある形で推進すべきだと言っている」と主張した。「韓国経済の現在の姿は、1-2カ月で形成されたものではない」とし、過去に責任を転嫁する一方、所得主導成長のみがしっかりした成長につながるとした。最低賃金引き上げで低所得層を豊かにするという政策が正反対の結果を招いているにもかかわらず、押し切ろうとしている格好だ。ここまでの結果は悪いが、今後どうして改善するのか具体的な説明はない。
  「所得主導成長」という道は間違っているのではないかと皆が心配するが、大統領は正しいと言い、ブレーンたちはこのまま進めば改善するという。金大中(キム・デジュン)政権で経済副首相を歴任した有識者が「年末までに経済の改善は難しいのに、大統領に直言するブレーンがおらず、調子のよいことばかり言っている」と懸念する声を肝に銘じるべきだ。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/08/27/2018082700986.html

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