韓国人タレントに家族の借金を返済する責任はあるのか

 最近芸能人の家族のカネをめぐる疑惑や暴露が相次いでいる。ラッパーのMicrodot(マイクロドット)の両親の場合は、20年前に親戚や隣人から巨額の借金をしたまま、ニュージーランドに身を隠した疑惑が浮上し、警察が捜査に乗り出した。26日には地方紙にラッパーのDok2(ドッキ)の母親が1990年代末、1000万ウォン(約100万円)余りの借金をしたが、まだ返済を受けていないという女性の主張を報じた。同じ日、大統領府(青瓦台)の国民請願掲示板には、歌手RAIN(ピ)の母親が1988年から2004年にかけ、コメ1500万ウォン相当と現金800万ウォンを借りたまま返していないという書き込みがあった。27日にはインターネット上にガールズグループMamamooのメンバー、フィインの父親が2000万ウォンの借金を返していないとの書き込みもあった。韓国語で借金のことを「ピッ」と呼ぶが、性的暴力被害の経験を告白する「Metoo」運動にちなみ、一連の動きを「ピットゥー」と呼ぶ新語も誕生した。

  では、芸能人は親の借金の返済責任を負うのか。子は原則として、親の借金に対する責任はない。しかし、親が死亡した場合には、財産と共に債務も相続される。財産よりも債務が多い場合には、裁判所に「限定承認」を申し立てればよい。限定承認が認められれば、子は財産の範囲内でのみ借金を返済すればよい。

  ただ、子が親の借金の連帯保証人となっていれば、返済責任を負う。しかし、その時期が未成年だった場合には、責任を免れるケースもある。父母が未成年者に借金の保証をさせることは、子の利益を損ねる「利益相反行為」に当たり、法的効力がないからだ。無論子がそれに関係なく、借金を返済することはできる。Microdotは「被害者を訪ね、話を聞きたい」と言い、Dok2は「1000万ウォンは自分の1カ月分の食費だ。カネがいるならば自分を直接訪ねてきてほしい。お返しする」と発言した。フィインとRAINは「円満な解決を目指したい」とコメントした。しかし、こうした言葉だけで債権者が借金を返してもらえるわけではない。子と直接会い、正式にいつまでに返済を受けるという契約を結ぶ必要がある。

  夫婦間の借金問題はまた事情が異なる。夫の借金は妻も返済責任を負うケースがある。民法832条は生計に関する借金は夫婦が共同で返済しなければならないとする「日常家事連帯責任」を定めている。例えば、夫婦が住むマンションの購入代金を確保するため、夫名義で借金をした場合、妻にも返済責任がある。しかし、家事とは関係がない借金、例えば夫の事業資金や投資名目での借金については、妻に返済を求めることはできない。裁判所関係者は「日常家事連帯責任は家庭の経済共同責任を考慮し、例外的に認められるものだ」と説明した。 ヤン・ウンギョン法曹専門記者・弁護士

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/11/29/2018112980019.html

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