【コラム】文在寅政権には「士大夫の遺伝子」がある

 今現在の積弊(前政権の弊害)清算政局を目の当たりにして、朝鮮時代の「士禍」の殺りく劇を連想するのは仕方ないことだ。士禍とは、士大夫(科挙官僚)に対する粛正のことで、それを連想するのは、情け容赦ない残酷さのせいだ。朝鮮時代中期、性理学の理念闘争が繰り広げられるたび、血しぶきが飛んだ。敗北陣営では多くの士大夫が拷問され、誅殺された。家族・親族・弟子まで奴婢となり、流刑となる滅族の惨禍をもたらした。それは恐怖の統治術だったことだろう。「血の警告」で抵抗の芽を摘んだのだ。

  韓国軍機務司令部の李載寿(イ・ジェス)元司令官自殺に権力の「殺気」を感じた人も多い。前政権を象徴する人物を洗いざらい調べ上げ、あらゆる容疑をにおわせて手錠をかけた姿を公開し、辱める。「必ず捕まえて鉄格子の中に入れてやる」という意志を隠そうともしない。李載寿元司令官の焼香所に現役軍人の姿はほとんど見られなかったという。軍人たちがおじけづいて近寄らなかったからだ。これが政府の望んだことなのか。

  過去の政権をターゲットにした積弊捜査は2年間にわたり続いている。100人を超える前政権関係者が拘束されたり、裁判を受けたりしている。これら関係者に言い渡された懲役判決の合計は既に100年を上回った。政権交代のたびに繰り返されてきたことだが、これほどまで残酷に大なたを振るったことはない。「現代版士禍」という声も聞かれる。朝鮮時代の支配層は、政敵を斯文乱賊(儒教の根本を乱す盗賊)と名指しした。現政権は「積弊勢力」というレッテルを貼り、政治的・社会的・人格的に葬り去っている。積弊清算も士禍も、反対派を根絶やしにしようという非寛容の権力行為にほかならない。数百年間という時を経ても、その本質は変わらない。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/12/28/2018122880034.html

コメント

このブログの人気の投稿

MBNの業務停止効力中断

「19世紀式の自主にかまけた586世代、20?30代の登場が望まれる」

韓国政府の救援隊がラオスに出発 医療スタッフら20人