【萬物相】灰皿を持つ金与正氏

 昨年4月の南北首脳会談の際、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が芳名録に書き残した言葉を見て、韓国与党・共に民主党のある議員が「バランス感覚がある」と高く評価した。そこには「歴史」という意味の言葉が2回使われていたが、最初は北朝鮮式の表記である「リョクサ」、2回目は韓国式の「ヨクサ」と書かれてあったように見えた。しかしよく見ると筆記体のような書体だったのでそう見えたにすぎず、実際はどちらも「リョクサ」だった。ところがそれを「金正恩氏に深い意図があった」などと持ち上げたのだから「目に豆のさやがかぶさっていた(あばたもえくぼ、の意)」などと皮肉を言われたのも当然だった。

  今回、金正恩氏がベトナムに向かう際、途中の駅でしばし列車から降りてたばこを吸う様子と、妹の金与正(キム・ヨジョン)氏が大きな灰皿を持ってその横に立つ姿がカメラに撮影された。「吸い殻についた身体に関する情報が漏れないようにするため」と言われている。誰もがその光景から「北朝鮮の王」の姿を垣間見た。ところがこれを見た元韓国統一部長官は「列車から降りてたばこを吸う様子は非常に人間的」「妹が灰皿を持って立つのも自然だ」などと称賛した。

  金正恩氏のたばこは昨年板門店で行われた南北首脳会談でも話題になった。当時、金正恩氏は橋の上や夕食会など、誰もが目にする場所ではたばこを吸わなかった。すると韓国大統領府は「愛煙家の金正恩氏が年長の文在寅(ムン・ジェイン)大統領に礼儀を尽くすためたばこを控えた」などと解釈した。たばこを取り出して口にくわえれば「人間的」であり、吸わなければ「高度の節制力」だ。それならかつて金正恩氏が妊婦や幼稚園児の前で堂々とたばこの煙を吐き出していた様子はどう説明するのか。「事前に免疫力を持たせようとする指導者の配慮」とでも称賛するのだろうか。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/02/28/2019022880031.html

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