【寄稿】「官製民族主義」が韓国を滅ぼす

 民族主義的な歴史政治が火を噴いている。親日積弊清算を望む大衆の感情的要求と、北朝鮮と共に韓半島(朝鮮半島)の平和を実現させようと考える「我らは同じ民族同士である」という情熱がそれだ。歪曲(わいきょく)された韓半島の現代史を正す「百年戦争」の熱望が歴史戦争をあおる。そのようにして親日積弊清算運動が大々的に繰り広げられている。「我ら同じ民族同士」という情熱は2回目の米朝首脳会談の決裂で一息ついているだけで、いつでも再び火がつく可能性がある。

  今の反日感情と「我ら同じ民族同士」という感情は典型的な「官製民族主義」(official nationalism=公定ナショナリズム)の所産だ。「官が主導する民族主義」だからといって、政府が国民に一方的に民族感情を注入しているわけではない。大衆が民族主義的な感情を既に心の奥深くへと内面化させているからだ。日本の植民地統治と分断からはじまった痛恨の歴史の経験は、韓国人の民族主義的な感性を極大化させた。我々の民族感情が平和志向の抵抗的民族主義だったという史実が、韓国の民族主義の正当性を一層強化した。今や韓国の民族主義は神聖不可侵の聖域となり、その逆鱗(げきりん)に触れようとは誰も思わない。官製民族主義が繁栄する最適な土壌なのだ。

  だが、民族という概念そのものが近代西洋の産物であることに注目しなければならない。カトリック教会と神聖ローマ帝国が支えた中世封建体制の崩壊後、個々の民族の国民国家がそのすき間に入った。近世の始まりだ。言語・神話・文化・慣習・血統を共有する特定の種族集団が民族という名で「呼称」され、政治主体として登場した。近代特有の政治の企てが「想像の共同体」(imagined community)である民族を生み出したのだ。国民国家の誕生と民族主義が歩みを同じくしたのがその証拠だ。「民族が民族主義を作ったのではなく、民族主義が民族を作った」のだ。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/03/29/2019032980103.html

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