【社説】史上最悪の大気汚染問題、最終的な責任は文大統領にある

 韓国政府が微小粒子状物質(PM2.5)などによる大気汚染問題の解決に取り組むための「国家気候環境会議」が29日に正式に発足した。会議の委員長は潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長が務める。今年12月までに対策をとりまとめ、韓国政府に提案する計画だという。

  潘委員長率いる会議の発足には大きな期待が寄せられているが、一方では懸念もある。大気汚染問題はあまりにも緊急かつ重要な課題であるだけに、従来の政府組織の権限や機能を越えた組織を新たに立ち上げ、その解決を目指すという決意を政府が本当にもっているのであれば、これは理解ができる。この問題の解決にはエネルギー価格の見直しなど、部処(省庁)間の利害の調整も大きな課題だ。国民の自由を制限し、あるいは国民に費用の負担を求める政策ももしかすると必要になるかもしれない。その時に生じる不満や葛藤については、国民の健康を守るというより大きな大義名分に基づいて必要な決断を下し、利害を調整することが必要だ。

  ただその一方で大気汚染問題の解決には高度の技術的あるいは専門的な知識が求められる。決定的な場面で委員長の判断が正しく正確なものとなるようにするには、専門家による助言や支えがどうしても必要だ。そう考えると会議形態の緩い委員会組織において、このように徹底した検討や研究が十分にできるかという懸念がどうしても残る。中国との利害関係を調整することも簡単なことではない。徹底して国益に基づいて動く国と国の関係においては、潘委員長の個人的な力だけではどうしても限界があるだろう。潘委員長が「中国との利害関係の調整とは別に、我々がやるべきことは先に取り組んでおかねばならない」と述べたのもこの点を意識したものだ。

  何よりも重要なことは、法的に人事権や指揮権を持つ大統領から距離を置いた組織が、果たして本当に高い実行力を示せるかどうかという点だ。今後潘委員長が各部処やその職員を掌握する力があるかがその鍵になるだろう。過去にも様々な形の委員会があったが、どれも結局は政府が自分たちの責任を回避するために利用された。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は選挙公約で「任期中にPM2.5を30%削減する」と明言した。この公約を果たすべき最終的な責任は文大統領にあるのであって、潘委員長がそれを代わりに果たすわけではない。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/04/30/2019043080017.html

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