25年前に盗まれた韓国の宝物「万国全図」、持ち主の元へ

  宝物第1008号「万国全図」は朝鮮第18代国王・顕宗(ヒョンジョン)のとき(1661年)に製作された国内最古の洋式世界地図だ。現代地図と同じ配置で五大洋六大陸を表現し、南北回帰線など洋式地図表記法にほぼ従っている。

  この全図は1994年にソウル東大門区(トンデムング)の咸陽朴氏(ハミャン・パクシ)家から盗まれた後、25年間行方が分からなくなっていた。

  このような中、昨年「万国全図が市場に売り出される」といううわさが広がった。昨年下半期に関連の機密情報を入手した文化財庁文化財事犯取締班は警察と共に捜査に着手した。

  警察と取締班は昨年11月、万国全図を売却しようと試みたA(50)の慶尚北道安東市(キョンサンブクド・アンドンシ)の住居地に家宅捜索に入った。警察と文化財庁担当者が「その地図がどれほど貴重か分からないのか」と、4時間以上にわたって説得した末、Aは隠していた万国全図を出した。2つに折り畳まれて保管されていた全図はあちこちにかびが生えて端がすり切れるなどき損された状態だった。文化財庁は万国全図を回収し、2週間かけて臨時修復作業を施した。

  盗難に遭った万国全図と譲寧大君(ヤンニョンデグン、1394~1462)の「崇礼門(スンネムン)」扁額文字が入った木版が姿を表わした。

  ソウル地方警察庁知能犯罪捜査隊と文化財庁文化財事犯取締班は、文化財保護法違反容疑でAとB(70)をそれぞれ立件し、万国全図と崇礼門木版、譲寧大君草書木版4点など文化財合計123点を回収したと29日、明らかにした。警察関係者は「取り引きができない盗難文化財であることを知って、『窃盗』の控訴時効である10年が過ぎるまで待ったものと見られるが、文化財保護法違反(文化財隠匿)で処罰することができる」と話した。

  文化財庁のキム・ソンヒ文化財鑑定委員は「万国全図は西洋宣教師アレーニが持ち込んだ小型世界地図をまねて拡大して描いたもので、国内民間で筆写された世界地図系列のうち最も早い時期に製作された

  もの」と説明した。

  地名などを漢字で表記し、陸地は赤系で大陸別に色を変えて塗色されている。海は青く塗られて波が描き入れられている。キム委員は「朝鮮時代の知識人の世界観を知ることができるため文化財的価値が高い」と話した。

  「崇礼門」木版と譲寧大君の草書体文字が入った「後赤壁賦」(蘇東坡の詩)の木版は、2008年全羅南道潭陽(チョルラナムド・タミャン)にある譲寧大君子孫の斎室である「夢漢閣(モンハンガク)」から盗まれた。警察と文化財庁は2017年10月に「崇礼門木版と譲寧大君草書木版が競売に出される」という機密情報を入手して捜査に着手し、2017年11月に京畿道楊平(キョンギド・ヤンピョン)に位置するBのビニールハウスに積まれている木版を発見した。崇礼門木版2点、譲寧大君が草書体で書いた「後赤壁賦」木版4点は、幸いにも大きくき損した部分はなかった。

  崇礼門木版は2008年に火事によって燃えた崇礼門復元の時に使われた扁額文字が入った木版だ。復元当時に使われたのはソウル銅雀区(トンジャクク)譲寧大君墓である至徳祠(チドクサ)に保管されていた拓本だ。

  文化財庁のチョン・チェギュ文化財専門委員は「この木版は崇礼門の書体を復元できる最も直接的な資料」と評価した。譲寧大君16代孫であるイ・スンボンさん(40)は「数年間、今年は帰ってくるだろうかと心を焦がし、海外に流出したのではないだろうかと心配もしたが、探し出してくれた文化財庁と警察に感謝する」と話した。

中央日報 https://japanese.joins.com/article/931/253931.html

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