誰もが知っている最低賃金引き上げの悪影響、今更認める韓国大統領府

 最低賃金の急激な引き上げの悪影響を認める声が韓国大統領府や政府、与党などから事前に打ち合わせでもしたかのように一斉に出始めた。最低賃金の引き上げはさまざまな業界で深刻な雇用の悪化を引き起こし、今なお多くの事業場が苦しんでいる。それが今になって最低賃金引き上げの悪影響を話題にし始めたのだから「後の祭り」もいいところだ。今週の初めに大統領府経済首席は「(来年度は)最低賃金のレベルを合理的に決める必要がある」と発言し、30日に選出された新任の最低賃金委員長は「最低賃金(引き上げの)速度が速かったという点では社会に共通認識ができつつある」と述べた。国立シンクタンクなども同じような考えを示し始めている。韓国労働研究院と中小企業研究院が共同で主催した討論会では「最低賃金が10%上がれば、労働市場全体の雇用が0.65-0.79%ほど減少する。具体的には主に若い世代や高齢者、5人未満の事業場など弱い立場の人たちの雇用が最初に減少する」と指摘した。

  これまで政府やシンクタンクなどではこの当然の事実、あるいは国民は誰もが知っている問題に口を閉ざしてきた。彼らは2年前の大統領選挙で「2020年までに最低賃金を時給1万ウォン(約920円)にまで引き上げる」というあり得ない公約が出た時から口を閉ざしていた。また実際に最低賃金が大幅に上がった影響で多くの零細事業所が立ち行かず、若者を中心に100万人が職を失いつつあるときも、ほとんど何も言わなかった。最低賃金が2年で30%も上がれば、どのような経済の仕組みがあっても耐えられないだろう。このような警告は各国の研究機関やシンクタンクなどから伝えられてきたが、彼らは聞く耳を持たなかった。

  今回突然最低賃金引き上げの悪影響を認めたのは、来年度の最低賃金を審議する期限まで1カ月を切ったからだろう。今後さらに最低賃金が上がるのはこれ以上耐えられないようなので、事前に本音をさらけ出したのだ。韓国はすでに国民所得に対する最低賃金のレベルが経済協力開発機構(OECD)加盟国の中でも上位にあり、週休手当まで考慮に入れれば圧倒的な1位だ。しかし最低賃金の引き上げを抑制するには、現政権で最大の権力者となっている労働組合が同意しなければならない。そんなことが果たして可能だろうか。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/05/31/2019053180048.html

コメント

このブログの人気の投稿

MBNの業務停止効力中断

「19世紀式の自主にかまけた586世代、20?30代の登場が望まれる」

韓国政府の救援隊がラオスに出発 医療スタッフら20人