【社説】トランプ大統領の訪韓、同盟強化の契機に

  文在寅(ムン・ジェイン)大統領が大阪で開催された20カ国・地域(G20)首脳会議の日程を終えた後、29日に帰国する。今回の会議は非核化交渉のため後回しになっていた、大韓民国が列強との直接対話を通じて外交力を回復する機会と見なされた。しかし結果を見ると成果は少ないようだ。まず開催国の日本との首脳会談が行われなかった。多者会議出席のために日本入りした韓国の大統領が日本首相と2国間会談をしなかったのは類例がない。韓日関係がどれほど深刻な状況であるかをよく表している。一方、安倍晋三首相はトランプ米大統領をはじめとするG20首脳や国際機関のトップと会談した。文大統領が7回の2国間会談をしたのとは対照的だ。さらにG20会議が開催されるたびに行われてきた韓日米首脳会談もなく、その場を日米印首脳会談が埋めた。日米首脳会談後の共同声明でも「日米韓の連携」という表現が抜けた。東アジアの政治で蚊帳の外に置かれつつある韓国の現状が赤裸々に表れたのだ。

  文大統領が注力した中国の習近平国家主席との会談でも、「外部環境が改善することを希望する」という北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長のメッセージを伝えられ、対北朝鮮制裁の緩和に向けた圧力を受けた。また習主席は「韓中協力は外部の圧力の影響を受けてはいけない」と述べ、米国のファーウェイ(華為技術)制裁戦線に参加しないよう強く警告し、THAAD(高高度防衛ミサイル)韓国配備の撤回を促した。文大統領の訪韓要請には沈黙で一貫した。これに対し「来年の桜の咲くころに国賓として日本に迎えたい」という安倍首相の提案には「いいアイデアと考える」と応じた。安倍首相と習主席は日中を「永遠の隣国」と規定し、蜜月関係を誇示したりもした。さらにこうした渦中に北朝鮮は「身の程知らずのたわごと」「恩着せがましい」などという表現で文大統領と韓国政府を侮辱している。「金正恩委員長が習主席に非核化と和解・協力の意志を明らかにした」という青瓦台の伝言とは全く違う。韓国政府の友好的なメッセージを「弱者の求愛」と考え、より多くのものを得るために優位に立とうとする姿だ。現在、大韓民国は米・日・中・露のどの国とも関係が安定しない中、北朝鮮にまで背を向けられた「五面楚歌」となっている。韓国外交の全面的な刷新が急がれる。

  こうした点で29、30日のトランプ大統領の訪韓は重大な分岐点となる。文大統領はトランプ大統領との会談で緩んだ韓米同盟を復元し、北朝鮮に対して一致した戦略を立てることに全力を注ぐ必要がある。文大統領はG20会議の前、「北が寧辺(ヨンビョン)核施設を完全に廃棄すれば、非核化は後戻りできない段階に入る」と述べて米国の反発を招いた後、参謀が「後戻りできない段階の入り口という意味」と弁解するハプニングがあった。これではいけない。貿易とは違って北朝鮮核問題では韓米の声が同じでなければいけない。そうしてこそ北朝鮮に韓国の存在感が生じて、北朝鮮を対話テーブルに引き込むことができる。根拠のない楽観論と対話至上主義に埋没して北朝鮮ばかりにこだわれば、我々の外交力はさらに弱まっていくことを銘記する必要がある。

中央日報 https://japanese.joins.com/article/990/254990.html

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