韓国の最大経済パートナー、ベトナムが中国に迫る日が来る

  ベトナムは地理的にかなり遠い国だ。仁川(インチョン)空港から飛行機で5時間かかる。距離が遠いだけにベトナムに対する韓国の見方も20-30年前からあまり変わっていない。10年間にわたり米国との戦争をした国、米国が離れて1975年に赤化統一された国というイメージだ。もう少し知っているとしても、旧ソ連の崩壊でベトナムでも脱社会主義実験が進行しているというレベルだ。とはいえ、依然として貧しく、ベトナム女性が韓国の田舎の未婚男性と結婚し、その多数が夫の暴力に苦しんでいるという程度で我々の認識は留まっている。

  しかしベトナムの経済発展像を見ると話は変わる。忘れる頃になると発生するベトナム人妻暴行事件を通じて思い浮かぶ弱小国のフレームは今日のベトナムの現実とは合わない。実際、今ではベトナムに進出した韓国企業の男性がベトナム人女性と結婚するケースが急増しているという。何よりも驚く事実はベトナムが中国、米国に次ぐ韓国の3大輸出国という事実だ。現在韓国の輸出比率は中国25%、米国12%、ベトナム9%の順だ。かつて1位だった日本はベトナムの半分以下になった。

  日本に対する韓国の輸出比率が低下したからといって重要性が落ちるというわけではない。先月1日に始まった日本の輸出規制がその現実を表している。日本が韓国に対して輸出規制を始めた3大核心素材の年間輸入額は7億2300万ドルにすぎないが、これは1267億ドルにのぼる韓国の半導体輸出に影響を及ぼす。貿易の量より質が重要という意味だ。

  しかし未来を眺めると話が変わる。ベトナムが韓国にとって第2の中国に浮上する可能性がある。今は貧しいベトナムの新婦が韓国農村の高齢の未婚男性の家に嫁ぎ、一部が暴力を受けている状況が見られるが、このような観点に留まっていればベトナムの底力を見逃してしまう。そのバロメーターは急上昇している。

  ◆韓国の朴正熙大統領時代より速い成長

  まず韓国は昨年ベトナムの第1投資国だ。2017年まで累積した韓国の対ベトナム投資金額は500億ドルにのぼる。1992年の国交正常化から25年間の実績だ。日本は400億ドルを少し超え、シンガポールと台湾がその後に続く。投資額だけを見ると、韓国がベトナムにかける期待は相当大きい。

  韓国はベトナムに対する政府開発援助(ODA)でも日本に次いで多い。チェ・スホン・ソウル大人類学科教授、キム・イジェ京仁教大地理学科教授などベトナム専門家は「ベトナムが米国を抜いて韓国の2番目の輸出国になるのは時間の問題」とみている。さらに中国に迫る日が来ることも考えられる。

  カギは持続の可能性だ。社会主義宗主国の旧ソ連の崩壊でベトナムも「ドイモイ」(改革開放)を始めて20年が過ぎた。まだ成果は大きい。スイス連邦銀行(UBS)はアジアで最も魅力のある投資国に選んだほどだ。今後5年以内に世界5大新興物流市場に成長するという理由からだ。米国はベトナムとの敵対関係を清算し、最近は経済交流が進んでいるが、まだ本格的な投資はしていない。

  成果は数値にも表れている。ドイモイ以前には100ドルを下回っていた1人あたりの国民所得は昨年2545ドルとなった。1986年の第6回共産党大会でドイモイを宣言してから33年間での成果だ。2545ドルなら低いと思うかもしれない。しかし韓国は漢江(ハンガン)の奇跡を起こした朴正熙(パク・ジョンヒ)時代が終わるまで2000ドルの壁を越えることができなかった。重要なのは100ドルの壁も越えることができない社会主義最貧国から脱出して成長動力の基礎体力を確保したという事実だ。

  今のベトナムは「漢江の奇跡」当時の韓国より速いペースで強く成長する環境を持つ。運と時期が重なったからだ。改革開放政策で外国人投資を受け入れる態勢になっていても比較優位がなければ意味がない。しかし中国の急成長がベトナムには機会になっている。中国はすでに賃金が高く、労働集約的産業に進出した外国人は対応できない状況を迎えている。韓国のほか世界主要国が最近次々とベトナム市場に投資して工場を建設するのは、中国市場に対する過度な依存度を減らそうとする意図がある。

  韓国企業はこうした流れに乗っている。サムスン電子は対中国投資の速度調節をしながら対ベトナム投資を拡大している。ベトナム政府もこれに合わせて専用の通関制度を設けてサムスン電子の投資を歓迎している。サムスン電子が新入社員採用試験をする日には受験場の前に数百メートルもの大卒者の行列ができる。韓国では反企業情緒に苦しんでいるが、ベトナムでは大歓迎されている。米中貿易戦争によるグローバルバリューチェーン(GVC)の変化もグローバル資本のベトナム流入を加速させる。米国が輸入先を中国からベトナムに移し、ベトナム企業は注文量に応じるために今年に入って職員を急激に増やしている。

  米中貿易戦争が長期化するほど海外資本が中国からベトナムに移ってくる反射利益を得ている。ベトナムは中国と10回以上も戦争をし、今でも南シナ海で紛争中だ。それほど中国と対立した関係だ。こうした点でもベトナムは中国から入ってくる外国人を歓迎している。

  韓国企業のベトナム進出は文化的にも両国をさらに近づけている。何よりも韓国人とベトナム人の夫婦が急増している。韓国の農村にベトナム人女性が嫁ぐケースはもう過去のことだ。ベトナムの経済力が急上昇し、ベトナム人女性が変わっている。統計庁によると、韓国人-ベトナム人の男女配偶者の平均年齢差も大きく狭まっている。居住地域もソウル・京畿道(キョンギド)が増え、高学歴者の比率も高まった。ベトナムの経済力が高まった結果だ。

  さらにベトナム現地で結婚する韓国人-ベトナム人の家庭も急増している。ベトナムに進出した企業の男性職員と大学を卒業したベトナム人女性が結婚するケースも多い。ドイモイ政策以降、経済的に豊かな環境で育った90年代生以降の「ベトナム新女性」(プヌトントイ)が外国系企業で勤務し、韓国をはじめとする現地進出企業の外国人勤労者と結婚する事例が増えているのだ。

【コラム】韓国の最大経済パートナー、ベトナムが中国に迫る日が来る(2)


中央日報 https://japanese.joins.com/article/078/258078.html

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