16人を殺害した脱北者…韓国政府が5日後に追放

国会に出席した大統領府安保室第1次長が携帯のメールを写真に撮られて発覚 韓国政府、今月2日に東海で二人が乗った船を拿捕(だほ)して調査 「凶悪犯は保護対象ではない」

  北朝鮮住民二人が7日、板門店を通して「追放」されたという事実は、同日午前に韓国大統領府(青瓦台)の金有根(キム・ユグン)国家安保室第1次長が受け取ったメールがメディアにキャッチされたことで初めて分かった。共同警備区域(JSA)の大隊長(中領=中佐に相当)が金次長に送ったこのメールは「去る11月2日に三陟へ下ってきた北朝鮮住民を、板門店を通して送還する」という内容だった。「2日の三陟亡命」自体が知られていない事実だったが、統一部(省に相当)はブリーフィングを拒否し、追放の手続きが終わった後、ようやく合同調査の結果を公表した。

  統一部の李相旻(イ・サンミン)報道官は「今月2日、東海北方限界線(NLL)付近の海上で線を越えた北朝鮮住民二人(が乗った船)を拿捕し、合同調査を実施した」として「二人は20代男性で、東海で操業していたイカ漁船において16人の同僚乗組員を殺害し、逃走したものと分かった」と発表した。合同調査の結果によると、当初3人の殺害犯は今年10月末ごろ、船長の虐待に恨みを抱き、船長を殺害した後、反発が予想されるほかの船員15人も全員殺害したとのことだ。3人は事件後に北朝鮮の金策港へ戻ったが、下船した一人が北朝鮮当局に摘発されたため、残る二人は再び船に乗って海へ出たという。

  この二人は、調査の過程で亡命の意思を表明した。だが今月5日に韓国政府は、3日間の調査と部処(省庁に相当)合同会議の末、二人の「追放」を北側に打診した。統一部は「殺人は北朝鮮離脱住民法上の保護対象ではなく、凶悪犯罪者なので国際法上の難民としても認められないと判断し、そのように決定した」と発表した。北朝鮮の司法システムの属性上、二人が送還されたら死刑は確実とみられる。

  ある脱北者は「北朝鮮離脱住民も、憲法上は韓国国民」だとして「亡命の意思を表明した脱北民を、捜査・裁判のような国内での司法的手続きなしに急いで追放するのは、あしき前例を作るもの」と指摘した。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/11/08/2019110880041.html

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