韓国統一相、また金剛山観光に言及「中・ロの制裁緩和決議案に注目」

南北鉄道・道路連結事業を改めて強調 北朝鮮による相次ぐ挑発の動きにも「アメ」の話のみ

  韓国統一部(省に相当)の金錬鉄(キム・ヨンチョル)長官は26日、南北鉄道・道路連結事業に加え「金剛山プラスアルファ」として観光協力も同時に進めたい意向を明らかにした。その上で金長官は「米朝非核化交渉の進展に向けた『暫定合意』が必要だ」とも主張した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は今月23日の韓中首脳会談をはじめ、最近になって様々な機会を通じて「平和経済」「東北アジア鉄道共同体」などの構想を繰り返し訴えているが、金長官の発言はこれと歩調を合わせたものと解釈できそうだ。

  金長官はこの日行われた今年最後の会見で「事態の悪化を防ぎ、(非核化)交渉の動力を生かすには、最終合意へと向かう飛び石としてモーダス・ビベンディ(暫定合意)が必要だ」とした上で上記のように述べた。金長官はさらに「中国とロシアは先日国連安保理に(対北朝鮮)制裁緩和決議案を提出したが、これには韓国政府としても注目している」とも伝えた。北朝鮮は今年だけで13回にわたりミサイルや発射体による挑発を繰り返し、最近も「金剛山の南側(韓国)施設撤去」や「非核化交渉の中断」などと脅迫しているが、それでも現状を管理するために「制裁緩和」といういわば「アメ」を与える必要があるとの意味に解釈できそうだ。

  韓国大統領府と与党・共に民主党では「南北対話のドアを閉ざし米国との厳しい対立に向かう北朝鮮をなだめるには、米国との対立を甘受してでも『制裁の一部緩和』を含む特段の措置が何としても必要」といった声が強まっている。共に民主党のある関係者は「米国とは一時的に対立が強まるかもしれないが、それでも国際社会の説得に乗り出さねばならない」とコメントした。

  金長官は「南北関係の空間を広げ、平和体制に向けた交渉を牽引することが目標」とした上で、今後目指す内容として「平和経済と軍事境界線周辺での協力」「交流協力の多辺化(多角化)」「南北協力に向けた基盤構築」などを積極的に進めたいとも説明した。

  金長官は特に「韓半島新経済構想と中国の一帯一路、ロシアの新東方政策をつなげる南北中ロの協力を推進したい」と強調した。この発言は「東北アジア鉄道共同体構想を実現するために、中国やロシアとの協力を拡大したい」という意味と考えられる。中ロが安保理に提出した決議案の草案には「南北鉄道・道路協力事業を制裁対象から外す」という内容もあるからだ。

  金長官はさらに「金剛山観光だけでなく、北朝鮮が関心を示す観光分野において南北協力の範囲を拡大していきたい」との考えも示した。北朝鮮が制裁の抜け穴として力を入れている元山・葛麻観光地区開発などは支援が可能という意味だ。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/12/28/2019122880010.html

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