【コラム】誤って踏み入った仲裁者の道

 アラビア半島の端にオマーンという国がある。この国の指導者、スルタン・カブース国王が今月10日に死去した。オマーンはサウジアラビアのように石油を大量に産出するわけでもなければ、ドバイのように華やかな超高層ビルが立ち並ぶ、いわゆる「繁栄している」国でもない。

  それにもかかわらず、長年の病で静かにこの世を去ったカブース国王の訃報に、世界の指導者たちが先を争うようにこの半島の小国を訪れ、弔問した。英国のチャールズ皇太子とジョンソン首相は12日の早朝に首都マスカットに到着した。親イラン武装勢力フーシと内戦状態にあるイエメンのハーディー大統領、イランのザリーフ外相も、しばし相手への敵対心を一時休戦させて弔問所で頭を下げた。米国のトランプ大統領など主要国の首脳たちは、声明でカブース国王への哀悼の意を表した。

  米・イランの激しい対立によって混迷が一層深まっている中東情勢だが、そんな中でも各国首脳の弔問が相次いでいるということは、カブース国王が外交的にいかに重要な地位にあったかを示している。専門家らは、カブース国王が世界の火薬庫といわれる中東で長い間ひそかに仲裁の役割をうまく果たしてきたため、尊敬を集めているのだと口をそろえる。特にカブース国王は2015年、イラン核交渉の最終合意に大きく寄与した。イランは米国を「巨大なサタン(悪魔)」と呼ぶ。このように敵対している両国が核交渉で合意できたのは、両国の立場を冷静に伝達・調整したカブース国王とオマーンの外交官たちの役割があったからに他ならない。注目されるのは、このように大きな功績を打ち立てたにもかかわらず、核合意に関する公式の席上でカブース国王やオマーンの外交・安保当局者たちがスポットライトを浴びることはほとんどなかったという点だ。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/01/24/2020012480046.html

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