【コラム】「寄生族」たち

 現在、裁判を通して「再放送」されているチョ・グク元法相夫妻の行脚を見ていて、映画『パラサイト 半地下の家族』を思い出した。映画でソン・ガンホが演じた「ギテク」の息子・娘は、家庭教師の仕事を手に入れようとして在学証明書を偽造する。チョ・グク夫妻は、計18件の文書を偽造した罪で起訴された。各種のインターン確認書や表彰状、ボランティア証明書などを偽造したという証拠や証言が、裁判で続々と公開されている。チョ・グク元法相の妻のチョン・ギョンシム教授が総長の職印の印影を切り抜いてニセの表彰状を作ったのは、ギテクの娘がフォトショップで職印をくっつけたのとそっくりだ。ギテクの子どもたちは、偽造証明書で丘の上の「パク社長」宅に入り込み、チョ・グク夫妻の子どもたちは、偽造文書で大学・大学院に入った疑いが持たれている。

  それでもギテクの息子は、「お父さん、僕はこれが犯罪だとは思ってないよ」と、堂々としていた。「来年には必ずこの学校に入るんだから」という理由で。チョ・グク夫妻も、一切の嫌疑を否認している。全ては「検察改革妨害勢力の陰謀」だから。自己合理化の催眠が「パラサイト」たちの罪の意識をなくしている。善悪の構図と背景は異なるが、劇中のギテク家と現実のチョ・グク一家は並行世界のように見える。ポン・ジュノ監督はまるでチョ・グク問題を予見していたかのようだ、という声まで上がった。

  『パラサイト 半地下の家族』は、韓国社会の構造的不平等を描いた陰鬱(いんうつ)なブラックパロディーだ。到底越えられない階級の障壁の前で、ギテクの家族は金持ちに寄生する暮らしを選ぶ。現実世界には、また別の形の「イデオロギー型パラサイト」たちが存在する。口では正義や公正を独占しながら、他人の分け前にたかって利益を横取りする左派偽善者があふれかえっている。ギテク家は食べていくのがつらくてパラサイトになったが、左派寄生族は他人に勝ってもっと大きな権力を握るためパラサイトとして行動する。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/05/29/2020052980140.html

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