北朝鮮に戻った脱北者 ライフジャケット着て漢江渡ったか=韓国

【ソウル聯合ニュース】韓国から軍事境界線を越えて北朝鮮に戻ったとされる北朝鮮脱出住民(脱北者)の移動ルートが次第に明らかになりつつある。この脱北者は20代の男性で、2017年に脱北して韓国入りしていた。鉄柵の下の排水路に設けられた二つの古びた障害物を軽々と通り抜け、満潮時に合わせてライフジャケットを着たまま漢江を渡ったと推定される。  韓国軍合同参謀本部は28日、この脱北者が軍事境界線に近い北西部・江華島のあずまや「燕尾亭」付近の排水路を通って北朝鮮に渡ったとの見方を伝えた。  聯合ニュースが27日に現場を取材した結果、この脱北者が通ったのは燕尾亭の向かい側にある排水路と確認された。  排水路は鉄柵の下を貫き漢江に水が流れるように設置されており、内部には鉄格子の形の鉄筋構造物があるが、現場で見ると肉眼でも分かるほど老朽化しており、一部に隙間もできていた。この脱北者は小柄な体形で、鉄筋の隙間を手で広げて通ったと推定される。  この鉄筋構造物を過ぎるとさらに輪形の鉄条網があるが、これも非常に古くなっており、小柄な脱北者は通り抜けられたようだ。  朴漢基(パク・ハンギ)合同参謀本部議長も同日の国会答弁で、こうした障害物が老朽化していることを認めた上で、「障害物を広げて通る余地を確認した」と述べた。  また、この脱北者が北朝鮮に渡ったのは満潮時で、排水路を通り抜けた後にライフジャケットを着用し、頭だけを水の上に出して浮いた状態で漢江を渡った可能性が高いと説明した。  警察と軍当局の調査結果を総合すると、この脱北者は18日午前2時20分ごろにタクシーで現地に到着し、満潮の時間帯に合わせて鉄柵の下の排水路を通って漢江河口に抜け、流れに沿って北朝鮮に渡ったとみられる。事前に現地一帯を下見していたとされ、時間をかけて北朝鮮行きを準備していたと推測される。  一方、合同参謀本部のキム・ジュンラク広報室長は同日の会見で、「軍の監視装置に捉えられた映像を精密分析中だ」と述べ、脱北者が北に渡る前後の行動を軍の監視装置が映像に収めていることを示唆した。  通常は兵士が録画映像をリアルタイムで確認しているとされるが、脱北者が監視装置に捉えられたにもかかわらず見逃したということになるため、議論を呼ぶことが予想される。  これに関し、鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防部長官は国会答弁で「(監視装置の映像の)モニタリングには難しい部分があり、昨年から補強を重ねて問題はないと判断していたが、もう一度見返したい」と述べた。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/07/28/2020072880190.html

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