強制労働否定する日本政府を国際社会が批判 ソウルで討論会

【ソウル聯合ニュース】国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」(23施設)に含まれた長崎市の端島炭坑(軍艦島)などで朝鮮半島出身者の強制労働が行われた歴史を日本が歪曲(わいきょく)していることに関連し、韓国で国際討論会が開催された。  アジア平和と歴史研究所は29日、ソウル外信記者クラブで討論会「人類共同の記憶、ユネスコ世界文化遺産と国際社会の信頼」を開催した。文化体育観光部管下の海外文化広報院が後援した同討論会で発表者は日本における強制労働の実情を紹介し、日本政府に対し、過去の歴史を反省するよう促した。  日本の市民団体でつくる「強制動員問題解決と過去清算のための共同行動」の矢野秀喜事務局長は、「明治日本の産業革命遺産」が世界遺産に登録され、日本政府は1850年代から1910年までの日本の産業近代化を美化する一方、侵略戦争時の朝鮮半島出身者に対する強制動員の歴史を排除したと批判した。  また日本は軍艦島などで強制徴用があったことを認め、犠牲者を記憶にとどめるための施設を設置する方針を表明したが、6月から一般公開された産業遺産情報センター(東京都新宿区)のセンター長は、「(軍艦島で)強制労働はなかった」、「朝鮮人に対する差別はなかった」などと発言していると紹介した。  さらに情報センターでは、強制労働を否定する証言だけを使い、被害者の証言は全く展示されず、三井三池炭鉱や三菱重工の長崎造船所、八幡製鉄所など強制労働があった場所については全く説明されておらず、中国人や連合国の捕虜などについても無視している指摘した。  矢野氏はこのような展示はユネスコとの約束に背くもので、改善が必要と強調した。  大阪大の松野明久教授は、産業遺産情報センターの開館は韓国人や中国人などを強制労働に動員した事実を否定しようとする組織的活動と批判した。   また日本の戦略は戦争当時の強制労働被害者や研究者などによる情報は無視して強制労働を否定するものであり、ユネスコの諮問機関で、世界遺産登録の可否を答申する国際記念物遺跡会議(イコモス)の憲章に背くものと指摘した。  オーストラリ国立大のローレン・リチャードソン教授は「第三者から見る東アジアの強制動員問題」をテーマに行った発表で、強制動員、賃金の未払い、苛酷(かこく)な労働の強要など多様な被害者が発生したとし、「日本政府が意図するものとは異なる方式で記述される必要がある」と指摘した。  討論会では強制動員の歴史を歪曲する日本に対し、東アジアの国が協調して対応するべきとする意見も出た。  慶煕大のキム・ミンチョル教授は強制動員・強制労働の問題は韓日だけの問題ではなく、中国人や連合国の捕虜を含んだ多国間の問題である同時に人権問題であると強調した。  日本は朝鮮半島出身者の動員を国家総動員法にともなう動員と主張するが、中国人と連合軍の捕虜については、このような説明が適用されないためだ。  キム氏は、「産業遺産が世界遺産として普遍的価値を持つ遺産になるためには、根本的な発想の転換が必要だ」とし、「歴史情報センターを被害者を含んだ関係者と関係国も参加する東アジア共同の記憶を収めた施設にしなければならない」と提案した。  朴良雨(パク・ヤンウ)文化体育観光部長官はあいさつで、「日本の産業革命の肯定的意味だけでなく犠牲者の辛い歴史も共に保全しなければならない」とし、「韓日関係、さらにはアジアの未来のために日本が自国の恥ずかしい歴史と被害国の苦痛を認め、許しを請う勇気を出すことを願う」と述べた。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/07/29/2020072980259.html

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