「文大統領は共産主義者」高永宙氏の発言、二審で有罪

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領を「共産主義者」と呼んだ罪(虚偽事実適示名誉毀損〈きそん〉)で起訴され、一審で無罪を言い渡された高永宙(コ・ヨンジュ)元放送文化振興会理事長(71)に対し、二審の裁判部は一審の判断を覆して有罪判決を下した。ソウル中央地裁刑事9部(裁判長:崔瀚敦〈チェ・ハンドン〉部長判事)は27日、名誉毀損の罪で起訴された高・元理事長に対し、無罪を宣告した一審を覆して懲役10カ月、執行猶予2年を宣告した。

  高・元理事長は第18代大統領選挙直後の2013年1月4日、当時の文在寅・新千年民主連合代表について「釜林事件の弁護人で共産主義者」という趣旨の発言を行い、名誉毀損の罪で起訴された。釜林事件とは、1981年に釜山地域で社会科学の読書会を開いていた学生・教師・会社員など22人が国家保安法違反容疑などで逮捕され、重い刑罰を受けた事件だ。その後、公安当局が彼らを違法に逮捕して拷問した事実などが判明し、再審などをへて全員が無罪判決を受けた。高永宙・元理事長は釜林事件の担当検事で、文大統領は14年に同事件の再審で弁護人を務めた。

  一審は「文大統領を共産主義者と評価する複数の理由を提示しつつ本人のみの診断を下したものであって、悪意に基づく謀略ではない」とし「『共産主義者』の概念も時代ごとに異なり、虚偽事実と見ることはできない」と判示した。ところが二審は「同じ民族同士での争いやイデオロギー対立などに照らしてみると、共産主義者という表現は他のいかなる表現よりも被害者の社会的評価を低下させる表現」だとして「表現の自由の範囲を逸脱している」と判示した。  しかし今回の判決を巡っては、「従北」という表現について表現の自由を理由に無罪を言い渡した大法院(最高裁に相当)の判決にも背く、という指摘が出ている。ある部長判事は「北朝鮮に追従する『従北』までも、大法院は表現の自由だと見なしたのに、それよりはるかに中立的な表現である『共産主義者』を名誉毀損と見なすのは話にならない」とし「特定人物を処罰するためのごり押しの論理」と批判した。

  裁判長を務めた崔瀚敦部長判事は進歩的判事の集まりである「国際人権法研究会」所属で、裁判所内では「強硬派の進歩」に分類される。 ◆世界報道自由度ランキング韓国42位、米国45位、日本は?

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/08/28/2020082880057.html

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