【萬物相】ひざまずいて謝罪

 1970年12月、ポーランドのユダヤ人追悼碑の前に西ドイツのブラント元首相が立った。ドイツの首相としては戦後初の訪問だった。冬に雨が降り、数人の聖職者と写真記者が周囲を取り囲んだ。そこで花輪を置いたブラント元首相は、ゆっくりとひざまずいた。予定になかった突然の行動だった。57歳のブラント氏はひざまずき、頭を下げて30秒ほど黙とうした。これが後日、歴史の1ページを刻むことになった「ワルシャワのひざまずき」だ。

  ブラント元首相は「私は、歴史の重みのため人々が言葉で表現できないときに行動しただけ」と述べている。ナチス収容所の生存者であるポーランド首相が感動し、車の中でブラント氏を抱き締めて泣いたという。ハンガリーのテレビ局は「ブラント氏がひざまずくことで、ドイツ民族が立ち上がった」と報じた。しかし、当時西ドイツのマスコミは批判的だった。世論調査の回答者の48%が「ブラント氏の行動は大げさだ」と非難した。

  歳月と共に評価は一変した。今や「20世紀のドイツの政治史に力と勇気とアイコンを示す象徴」として定着した。ブラント氏に似た「ひざまずいての謝罪」は2015年8月に鳩山元首相が旧西大門刑務所を訪れた際に行われた。鳩山氏は追慕碑に献花した後、ひざまずいて祈りをささげた。彼は「申し訳なく思い、心から謝罪する」と述べた。鳩山元首相は3年後、慶尚南道陜川郡も訪れ、80歳の原爆被害者を一人一人訪ね、手を握って頭を下げた。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/08/28/2020082880169.html

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