【コラム】「安倍マリオ」の突然の退場

 2016年のリオデジャネイロ五輪閉会式と言えば、日本の安倍晋三首相が次期五輪を広報するパフォーマンスにスーパーマリオに扮(ふん)してサプライズで登場したのが最も記憶に残っている。漫画とアニメに代表される日本のポップカルチャーのさまざまなキャラクターを前面に押し出した8分間のパフォーマンスで、日本の首相がトップ政治家としての重みを脱ぎ捨て、コミカルなキャラクターのコスチュームに身を包み、マラカナン・スタジアムに登場した。緻密に計算された演出であることは分かっていても、そのクリエイティブさと大胆さに舌を巻くしかなかった。安倍首相はその時から「スーパー安倍マリオ」になった。

  だが、それから4年たった28日、安倍氏は持病を理由に首相職の辞任を表明した。2012年12月に就任してから2803日、戦後最も長く続いた政権という記録を残して退くことになった。

  安倍氏が辞任を表明した28日は、もしすべてが順調に行っていたら、東京で夏季五輪が成功し、次のパラリンピックの盛り上がりが頂点に達していたころのはずだった。全世界が見守る中、閉会式で堂々と「日本が全世界に平和のメッセージを伝えた」と叫ぶことを切に夢見ていた同氏は、代わりに「任期をあと1年残し、(首相の)職を辞することとなったことについて国民の皆様に心よりおわびを申し上げる」という言葉を残して頭を下げた。

  安倍氏の辞任で東京五輪はいっそう「視界ゼロ」状態になった。一部では、五輪が事実上、中止の段階に入るのではないか、という声も聞かれる。それほど東京五輪は、初期構想段階から安倍氏の強い意志が反映されていた。安倍氏は五輪が東日本大震災と福島原発爆発事故、経済低迷の突破口になり得ると考えた。放射能、猛暑、内部の反発にも立ち止まらず強い推進力を発揮し、五輪の陣頭指揮を執った。そのため、東京五輪を「安倍五輪」と呼ぶ人もいた。

  しかし、世の中は思った通りにばかりは行かない。新型コロナウイルスの恐怖が突然、全世界に吹き荒れた。「マスク大国」日本は初期に新型コロナウイルスの火種を消すチャンスがあったが、五輪の予定通りの開催に支障を来すのではないかとためらううちに適期を逃した。不可能なことがない力を持つ安倍氏の顔色をうかがい、忖度(そんたく)した官僚社会が、自らの判断で感染者数統計の抑制にばかり気を使った結果だった。日本は最近も毎日、新規感染者が800-1000人出ており、まもなく累計7万人を突破する勢いだ。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/08/31/2020083180054.html

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