【コラム】コロナより「監視」されるのが怖い

 印鑑証明書を取りに住民センターを訪れたところ、入り口に初めて見る機械が置いてあった。QRコードを提示するよう書かれてあった。一度もやったことがなくてためらっていたところ、従業員が慣れた口調で案内してくれた。スマートフォンで言われたアプリを開き、何かを押すように言われ、「同意します」にチェックするよう求められた。何に同意したのかもよく理解できないまま、すぐさまQRコードが作成された。

  何に同意したのか気になり、再びそのアプリを開いてみた。名前と電話番号、QRコード、QRコードの生成日時などが保健福祉部(省に相当)や疾病管理本部、ソウル市に提供されるという内容だった。住民センターの敷居をまたぐために全ての個人情報の開示を要求されたのに比べ、印鑑証明を取るために差し出す住民登録証は、何だか非常にちっぽけに見えた。

  行きつけのパン屋に食パンを買いに行ったところ、芳名録を作成するように言われた。食堂の入り口にはQRコードで撮影しようとする人々が列を成していた。ある飲食店には「マスクをおかけになっていない方は当店でのお食事をご遠慮いただきます」と書かれてあった。何を言っているのか分かっていながらも、その非論理は笑ってばかりもいられなかった。地下鉄の駅に入ると「マスクは私たちみんなの…」というアナウンスが繰り返される。改札口にカードをかざすと「マスクを着用してください」と機械が命令する。まるで人類の終末を描いたSF映画を見ているようだ。駅を出るとき、機械は何も言わない。「今後のあなたの行動は、私たちの責任外だ」という無言の釈放だ。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/09/25/2020092580175.html

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