【記者手帳】韓国証券市場にちらつくポピュリズム

 今月初め、香港系の証券会社CLSAは「文在寅(ムン・ジェイン)大統領のファンドマネジャーデビュー」というリポートを出した。リポートは「文在寅政権はニューディールファンドで市中の流動性を生産的なところに移し、不動産価格(の上昇)を止められるだけでなく、国民に投資利益を上げさせ、票を得る一石二鳥の効果を期待する」と皮肉った。

  「国民に投資利益を上げさせ、票を得る」という部分は最近金融当局が打ち出す他の金融政策にも通じる。不動産政策が失敗すると、政府は金融市場でいかにしても個人投資家に収益を上げさせなければならないという負担を感じているようだ。証券市場が上がれば、「景気が良い」という認識が生まれるからだ。

  政府が金融市場を力づけることは良い。ただポピュリズムと似ていることが問題だ。ニューディールファンドが代表的だ。「ファンド」なのに政府は損失が出れば政府の資金(税金)で損失を10%まで肩代わりするとし、事実上の元本保証を約束した。これは金融機関が投資商品を売る際、事前に収益を約束したり、事後に補償したりしてはならないと定めた資本市場法55条にも反する。

  金融監督院の紛争調停委員会が下したライムファンド100%償還決定も似ている。同委は今年6月、ライム貿易金融ファンドの紛争調停申し立てに対し、市場初めて100%償還の決定を下した。金融監督院が「受け入れるかどうかを経営実態評価に反映させる」という強い意思を表明すると、ウリィ銀行、新韓金融投資などの販売金融機関は空気を呼んで勧告案を受け入れた。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/09/25/2020092580182.html

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