2019年韓国政府は北の要請なかったのに脱北漁民を送還

 韓国政府は2019年11月、イカ釣り漁船で同僚船員16人を殺害した容疑により、亡命意思を表明した北朝鮮漁民2人を強制送還した。この事件が、脱北を準備する北朝鮮住民にとって心理的圧迫になっているという分析が出ている。当時韓国政府は拿捕(だほ)からわずか2日で、北朝鮮側の要請もない状態で漁民2人を開城共同連絡事務所を通して追放する意思を固め、北朝鮮は翌日に受け入れの意志を表明した。韓国政府は2人に眼帯を付けさせ、捕縄で縛ったまま板門店を通して強制送還した。板門店の軍事境界線近くでようやく眼帯を外され、北朝鮮行きを悟った脱北船員らは、その場でべたりと座り込んだ-という話もあった。 ■「世界で最も住みやすい国」2020年版発表、韓国17位、日本は?  2人を追放した事実が知られるようになったきっかけも、共同警備区域(JSA)の大隊長を務める中領(中佐に相当)が青瓦台(韓国大統領府)の金有根(キム・ユグン)国家安保室第1次長に送ったショートメールがメディアのカメラに捉えられ、報じられたからだ。2人の電撃送還を巡り、野党からは「南北関係にとって悪い材料になることを懸念したから」という指摘が出た。

  当時韓国政府は、送還した漁民の脱北及び送還プロセスを説明する過程で、発言内容を翻したこともあった。統一部(省に相当)の金錬鉄(キム・ヨンチョル)長官(当時)は同年11月8日、「尋問を受ける過程で幾つか相反する供述があったが、『死んでも戻りたい』という供述も明らかに行った」と語った。しかし四日後、統一部の当局者は「『死んでも祖国に戻りたい』という発言は、それ以前の行実の調査で、自分たち同士で行った話を伝え聞いたもの」と明かした。さらに、海上で船員16人を殺害した疑いが持たれている北朝鮮住民2人が乗って来た船について、韓国政府が血痕の鑑識など細かな調べを行うこともなく北朝鮮側へ引き渡したことも確認された。

  北朝鮮人権団体総連合会は昨年3月、北朝鮮漁民強制送還に関連して、当時の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長など安全保障ラインの中心人物4人を起訴・処罰してほしいという請願書を国際刑事裁判所(ICC)に提出した。「韓半島統一を準備する弁護士協会(韓弁)」は、北朝鮮漁民強制送還に関連して国家人権委に緊急救済申請書まで提出したが、人権委は今年1月初め、要件が満たされていないとして申請を棄却した。

  鄭義溶外相は最近、人事聴聞会で「この人々は韓国国民とみなさなかった」とし、「憲法の保護を受けられる最小限の条件を備えておらず、一般の脱北民とは違う」と発言した。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/02/24/2021022480074.html

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