作家の柳美里氏 居場所のない人の声聞きたい=差別体験も語る
【東京聯合ニュース】在日韓国人の作家、柳美里(ユウ・ミリ)氏(52)が25日、東京都内の日本外国特派員協会で会見し、2020年の全米図書賞を受賞した著作と作品世界について語った。自身の半生と数々の差別の体験にも話が及んだ。 柳氏は1997年、「家族シネマ」で芥川賞を受賞した。すると右翼団体に所属するという男性からの電話で「朝鮮人が生意気だ」と言われ、サイン会を開いたらファンにも被害が及ぶと脅迫されたという。結局、四つの書店でサイン会を取りやめざるを得なかった。 昨年は「JR上野駅公園口」の英訳版が全米図書賞(翻訳文学部門)を受賞した。ある席で「日本人の女性作家が世界で活躍している」と紹介され、自分は日本人ではないと訂正したところ、交流サイト(SNS)で「そんなに日本が嫌いなら家族で朝鮮半島に帰れ」と攻撃された。 社会に批判的な発言をすると、SNSで「家を燃やしてやる」「柳美里も息子も焼き払ったほうがいい」などの激しい言葉を浴びせられたこともあったと、淡々と語った。 柳氏は「私はずっと居場所がない」と言う。せめて23.5センチの両足をつけられる場所を守りたいと思いながら書き続けてきた。韓国人でもなく日本人でもないことがアイデンティティーになっていると語った。 全米図書賞の受賞であらためて脚光を浴びているが、柳氏は一貫して低いところか世の中を見つめている。 朝鮮戦争でほぼすべてを失った両親は漁船で日本に密入国し、柳氏は日本で生まれた。幼いころに両親は離婚した。柳氏の最終学歴は中卒だという。高卒以上でないためアルバイトもままならなかった。日本社会の底辺で育ち学歴もほぼなかったゆえに、目を向けられない人たち、社会の底辺にいる人たちの声に耳を傾けたいと語る。 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、「ステイホーム」が叫ばれるが、「ホーム」を持たない人にどう聞こえるかを考えずにはいられないとも述べた。 柳氏は現在、2011年の東京電力福島第1原発事故で避難区域となった福島県南相馬市に在住する。「JR上野駅公園口」は南相馬から上京した男性を主人公にした作品。
朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/02/26/2021022680153.html
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