米国の人種差別・ヘイト犯罪の中でアカデミー賞が残したメッセージ

 毎年、世界の人々の注目を集めるアカデミー賞授賞式は、単なる映画関係者のための祭典という枠を超えて、政治や社会的テーマに耳を傾け始めた。2017年に予想を覆して作品賞を受賞した『ムーンライト』も、トランプ前大統領時代に論争になっていた黒人・性的マイノリティーに対する差別を反映した結果だという解釈が支配的だった。

  25日(現地時間)に米カリフォルニア州ロサンゼルスのユニオン駅やドルビー・シアターなどで開催された第93回アカデミー賞授賞式でも、最近米国内で深刻な社会問題として浮上している人種差別とヘイト(憎悪)に反対する声が相次いだ。

  韓国の俳優として初めてアカデミー賞の助演女優賞を受賞したユン・ヨジョンさんはこの日、米国映画芸術科学アカデミーが準備したオンライン記者懇談会で「人を人種で分類したり区別したりすることは良くない」として「虹のように全ての色を合わせ、もっと美しくしなければならない」と述べた。

  これに先立ちユンさんは、アカデミー賞授賞式への出席を前に行われた雑誌『フォーブス』とのインタビューで「息子がアジア系へのヘイトクライム(憎悪犯罪)を懸念しており、授賞式出席のために渡米することを心配している」と話し「恐ろしいこと」と批判していた。

  「ジーン・ハショルト友愛賞」を受賞した米国の映画監督で俳優のタイラー・ペリーさんは、受賞スピーチで「どんな環境にあっても、憎むことをやめて努力してほしい」として「黒人、アジア人、LGBTQ(性的少数者)、誰であっても差別を受ける理由がない」と訴えた。

  メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞した映画『マ・レイニーのブラックボトム』のメイクアップアーチスト、セルジオ・ロペズリベラさんも「黒人、ヒスパニック(ラテンアメリカ系)、アジア人など全ての女性が(このアカデミー賞授賞式に)立つ姿を見たい。この先いつか、それが当たり前のことになる日も来ると期待している」と述べた。

  短編実写映画賞を受賞した『隔たる世界の二人』で共同監督を務めたトレイボン・フリーさんは「米国の警察が今日も3人殺すだろうし、明日も3人殺すだろう」と話し、注目を集めた。さらに「米国の警察が殺しているのは1年におよそ1000人。そのうち多数、ほとんどが黒人」と主張した。

  フリーさんは「他人の苦痛に無関心なのは恐ろしいことだ。だから皆さんにお願いしたい。無関心にならないでほしい」と強調した。『隔たる世界の二人』は、ペットの待つ自宅に帰る途中だった男性が、警察官から暴力で制圧されたことで起きる話だ。おそろしい瞬間が繰り返されるということを描き、なぜこのようなことが起きたのか検証する映画だ。

  一方、今年のアカデミー賞授賞式も、ポン・ジュノ監督の映画『パラサイト 半地下の家族』が席巻した昨年に続き、アジア系の映画関係者の善戦が目についた。中国国籍のクロエ・ジャオ監督は『ノマドランド』で監督賞と作品賞を受賞し、韓国系米国人の俳優スティーブン・ユァンも激戦だった主演男優賞の候補に堂々と名を連ねた。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/04/26/2021042680212.html

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