走れば15秒「100mルール」に激怒する韓国のストーキング被害者

 彼氏に別れを告げた後3カ月間にわたってストーキングに苦しんだハンさん(24)は、10月21日から施行された「ストーキング処罰法」についてこう語った。元彼は暴力を振るうことはなかったが、通勤時間に合わせて職場や自宅の近くをうろつきながら、ハンさんを遠くから見つめ、ついて回ったという。ストーキング処罰法によると、警察は被害者の要請により、加害者に「被害者やその住居などから100メートル以内は接近禁止」とする措置を下すことができる。しかし、ストーキングの被害者らは「この100メートルという距離は、被害者にとって恐れを抱かない方が異常なくらいに短過ぎる」と主張する。

  現行法上、「100メートル以内は接近禁止」を明示しているのは何もストーキング処罰法だけではない。性犯罪被害に遭った児童や青少年と加害者(青少年保護法)、児童虐待を受けた被害者と加害者(児童虐待処罰法)、家庭内暴力を受けた被害者とその加害者(家庭内暴力処罰法)に対し、関連法は一律に「100メートル・ルール」を固守している。

  専門家たちは「この距離は被害者を保護するのに効果的ではない」と主張する。韓国刑事・法務政策研究院のスン・ジェヒョン研究委員は「『100メートル以内は接近禁止』という規定が初めて適用されたのは、家庭内暴力犯罪」とし「過去、被害者と加害者が一つの家庭内で最小限の分離さえできなかった時代に作られた100メートル規定が今まで適用されていて、接近禁止の基準となった」と述べた。さらに「100メートルは事実上、成人男性が15秒で走れる距離なので、安全で十分な分離措置とは言えない」と付け足した。 ■2021年世界で最も安全な都市1位はコペンハーゲン、ソウル25位、日本は?  この100メートルという距離を伸ばす法案は、これまで幾度となく発議されてきた。昨年、共に民主党の鄭春淑(チョン・チュンスク)議員は、性犯罪被害児童の住居地などから1キロ以内への加害者の接近を禁止する法改正を進めた。「国民の力」のファンボ・スンヒ議員も今年3月、同法の接近禁止距離を10キロに改正することを骨子とした法案を代表発議した。ファンボ議員は「100メートルは相手を肉眼でも識別できるほど短い距離」とし「加害者の権利より被害者保護が明確に優先されなければならない」と説明した。しかし、こうした法案は「他の先行法が全て100メートルを基準としている」との理由から、全て国会の敷居をまたぐことができなかった。これに対し、児童安全委員会のイ・ジェボク委員長は「特に児童性犯罪は加害者と被害者の関係が非同居人の場合が半数以上であるだけに、接近禁止距離を100メートル以上に拡大するのが何よりも先決」と述べた。

  海外の国々は、法適用を比較的柔軟に行っている。ドイツや日本は、被害者の年齢や犯罪の特性、行為の重大性などの事案の特殊性を考慮し、自主的に接近禁止距離を定めている。米国では州別に性犯罪者の居住地を制限する独自の距離規定を300メートル、600メートルなどと定め、これを基準に裁判所が自主的に接近禁止距離を定めている。東国大学警察行政学科のイ・ユンホ教授は「間に川を挟んでいる10メートルと単なる野原の100メートルとでは、どちらが安全距離か」とし「直線・曲線距離、障害物などを考慮しない一括的な100メートル規定よりも、被害者の要請や日常活動範囲、担当警察の説明などを考慮した上で裁判所が接近禁止距離を設定すべき」と説明する。

  東国大警察行政学科のクァク・テギョン教授は「過去に作られた100メートルという基準が科学的で客観的な根拠に基づいて設けられたのかどうか疑問」とした上で「この基準が妥当かどうかを議論する社会的公論化の過程が必要だ」と述べた。 ハン・イェナ記者

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/10/29/2021102980098.html

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