日本、「有事の対北先制攻撃能力」本格議論開始へ

 日本政府と与党・自民党が相手国のミサイル発射拠点などを自衛のために先制攻撃する「敵基地攻撃能力」の保有に向け本格的な議論に入った。日本経済新聞が25日に報じた。日本の中長期的な外交安全保障政策の基本方針を定める国家安全保障戦略(NSS)を改定し、敵基地攻撃能力の保有を明記するか否かが焦点になるという。周辺国や核・ミサイル技術の高度化に対応するという大義名分を前面に出し、事実上北朝鮮に対して先制攻撃を行う根拠を準備するのはもちろん、戦争放棄を明記した平和憲法の改正へと続く可能性もあることから注目を集める。 【グラフィック】「2021年世界の軍事力ランキング」米国1位、韓国6位、日本は?  日本政府は来年末までの国家安全保障戦略改定を目指し、今月初めから自民党と政府次元での検討を始めた。日本の国家安全保障戦略は安倍晋三元首相在任中の2013年に今後10年間の外交安全保障政策の基本方針を構想するという次元で作成され、今回が初めての改定となる。同時に10年単位の防衛方針を示す防衛計画大綱とそれに必要な軍事装備について検討する中期防衛力整備計画も再検討する方針だ。これら一連の議論のポイントは敵基地攻撃能力の保有を明記するか否かだという。日本の複数のメディアが伝えた。

  敵基地攻撃能力の保有を事実上の選挙公約として掲げた自民党と、伝統的にこれに反対の立場を取ってきた連立与党の公明党は今月初めから関連する協議を開始した。今月13日には防衛省が岸信夫防衛大臣を議長とする「防衛力強化加速会議」の初会合を行い、敵基地攻撃能力の保有をはじめとする日本のミサイル対応力強化策について検討を行った。岸防衛相は先月31日に実施された衆議院議員選挙で自民党が大勝した直後「敵基地攻撃能力を含む抑止力強化について国民の理解が得られた」という趣旨の発言を行うなど、敵基地攻撃能力の保有を積極的に推進する意向を明確にしている。

  敵基地攻撃能力の核心は、すでに発射されたミサイルを迎撃するのではなく、相手国で攻撃の兆候が見られた段階でミサイル発射の拠点を先制攻撃し破壊することだ。そのため日本の憲法が規定する専守防衛(攻撃を受けたときのみ自衛の次元から反撃すること)の考え方に反するとして根強い反発があった。しかし今回の衆議院選挙では敵基地攻撃能力の保有と憲法改正に前向きな議員が数多く当選したため、日本が敵基地攻撃能力を保有する可能性は過去のどの時期よりも高まっているようだ。

  日本政府が敵基地攻撃能力について初めて方針を示したのは1956年だ。当時の鳩山一郎首相は「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだというふうにはどうしても考えられない」「それ以外の適当な手段がないと認められた場合に限り、敵基地攻撃は自衛権の範囲に含まれる」との考えを表明した。「敵基地攻撃能力」そのものは専守防衛を定めた平和憲法に違反しないと解釈したのだ。これまで自民党はこの立場を維持してきたが、あえてこれを強調することはなかった。先制攻撃に使用される兵器の購入も自制してきた。

  最近になって敵基地攻撃能力を強く主張しているのは昨年辞任した安倍元首相だ。当初は米国のミサイル防衛システム「イージス・アショア」の導入計画を進めた安倍政権だが、昨年6月に費用や地域住民の反対などによりこれを取りやめ、その代案として敵基地攻撃能力が浮上したのだ。安倍政権によるこれら一連の外交安全保障政策は菅義偉前首相、さらに現在の岸田文雄首相にもそのまま受け継がれている。

  岸田内閣では「敵基地攻撃能力は違憲」との批判をかわすため憲法改正に向けた議論も積極的に進められそうだ。岸田首相は先日行われた自民党総裁選挙で憲法改正と敵基地攻撃能力の保有を検討する考えを正式に表明している。今回の衆議院選挙で41議席を確保し第3党として急浮上した日本維新の会も敵基地攻撃能力の保有に積極的だ。日本維新の会は選挙の際「領域内における抑止力の構築を積極的に検討する」と訴え、敵基地攻撃能力の保有をはじめとする防衛力強化を公約として掲げた。そのため「自民党は公明党ではなく日本維新の会と組む可能性が高い」との見方も強まっている。

  東京の外交筋は「敵基地攻撃能力の保有を巡る議論は日本の先制攻撃権を認めると同時に、将来の実質的な軍備増強へとつながることから、平和憲法の改正よりも韓国にとってははるかに直接の影響が及ぶ事案だ」「覇権国として浮上する中国と、以前のように積極的な介入の姿勢を示さない米国との間で日本は今後も引き続き防衛力の強化に力を入れるだろう」とコメントした。 東京=チェ・ウンギョン特派員

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/11/26/2021112680015.html

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