米・日バブル崩壊の引き金となった利上げ、韓国の住宅価格も急落するのか(上)
米連邦準備理事会(FRB)が来年3回の利上げを予告するなど、世界各国が利上げを本格化させている。全世界的な住宅価格高騰を招いた「低金利」「過剰流動性」の時代が終わり、「利上げ」「緊縮の時代」が本格化するのに伴い、住宅市場も揺らぐ可能性が高まっている。
8月と11月の2回の利上げで政策金利が0.5%から1%に上昇した韓国は既に住宅市場のムードが急変している。7-9月時点では「過去15年で最大の急騰」と報じられるほど過熱していた住宅市場が急速に安定を取り戻している。住宅取引件数が急減し、一部地域では売値を1億-2億ウォン(970万-1930万円)下げた物件も登場した。韓国不動産院の週間マンション価格動向によると、ソウル市では恩平区が初めて下落に転じた。1年7カ月ぶりの下落となる。KB不動産が発表した12月の住宅価格動向統計によれば、京畿道光明市のマンション売買価格は0.01%の下落を記録した。2年6カ月ぶりの下落だ。賃貸保証金の相場も下落する地域が増えている。 ■急激な利上げはバブル崩壊の引き金 一般的に金利が下がれば住宅価格上昇、金利が上昇すれば住宅価格下落の要因となる。2020年以降、全世界で住宅価格が同時多発的に急騰したが、これは景気低迷を防ぐために各国政府が低金利、流動性供給拡大(金融緩和)政策を取ったためだとの見方が有力となっている。このため、「住宅価格が上昇したのではなく、通貨価値が下落した」という言葉が不動産業界で流行した。
それならば、金利が上昇したらどうなるか。米国では短期金利を1%引き上げた場合、2年後の住宅価格に与える影響について、1.7-10.4%の下落効果を生むとの研究結果が示されている。利上げで住宅担保融資の元利返済負担が重くなるため、住宅需要が低下し、価格下落要因になるのだが、利上げ幅と住宅市場の状況によって下落幅は異なってくる。成均館大の李根栄(イ・グンヨン)教授らは、2016年に発表した論文「金利と住宅価格」で、住宅価格上昇期と利上げ時期が重なった場合、金利が住宅価格を下落させる可能性は低く、住宅価格下落期と金利上昇期が重なった場合には、住宅価格と賃貸保証金相場が大幅に下落する可能性が高いと主張した。
実際に急激な利上げは不動産バブル崩壊につながることもある。日本銀行は1980年代に2.5%まで引き下げた政策金利を90年8月に6%まで急激に引き上げ、不動産バブル崩壊につながった。日本は利上げに加え、不動産融資を制限する総量規制まで導入した。米国の場合、2003年に1%だった政策金利が06年に5.25%まで上昇し、住宅価格下落と家庭の破産、銀行破綻へとつながり、全世界の金融危機を招いた。
急激な利下げは通常景気浮揚が目的だ。80年代末、日本はプラザ合意による「円高内需不況」を防ぐための低金利政策で不動産価格が急騰すると、金利を引き上げ、融資を制限した。米国も2000年代に入り、ドットコムバブルが崩壊すると、景気浮揚のために政策金利を1%まで引き下げ、信用度が低い個人にまで住宅担保融資を乱発し、金融危機へとつながった。コロナ大流行による景気低迷を防ぐための低金利・流動性拡大政策は80年代末の日本、2000年代初めの米国と似ている側面が多い。 車学峯(チャ・ハクボン)不動産専門記者
朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/12/29/2021122980032.html
8月と11月の2回の利上げで政策金利が0.5%から1%に上昇した韓国は既に住宅市場のムードが急変している。7-9月時点では「過去15年で最大の急騰」と報じられるほど過熱していた住宅市場が急速に安定を取り戻している。住宅取引件数が急減し、一部地域では売値を1億-2億ウォン(970万-1930万円)下げた物件も登場した。韓国不動産院の週間マンション価格動向によると、ソウル市では恩平区が初めて下落に転じた。1年7カ月ぶりの下落となる。KB不動産が発表した12月の住宅価格動向統計によれば、京畿道光明市のマンション売買価格は0.01%の下落を記録した。2年6カ月ぶりの下落だ。賃貸保証金の相場も下落する地域が増えている。 ■急激な利上げはバブル崩壊の引き金 一般的に金利が下がれば住宅価格上昇、金利が上昇すれば住宅価格下落の要因となる。2020年以降、全世界で住宅価格が同時多発的に急騰したが、これは景気低迷を防ぐために各国政府が低金利、流動性供給拡大(金融緩和)政策を取ったためだとの見方が有力となっている。このため、「住宅価格が上昇したのではなく、通貨価値が下落した」という言葉が不動産業界で流行した。
それならば、金利が上昇したらどうなるか。米国では短期金利を1%引き上げた場合、2年後の住宅価格に与える影響について、1.7-10.4%の下落効果を生むとの研究結果が示されている。利上げで住宅担保融資の元利返済負担が重くなるため、住宅需要が低下し、価格下落要因になるのだが、利上げ幅と住宅市場の状況によって下落幅は異なってくる。成均館大の李根栄(イ・グンヨン)教授らは、2016年に発表した論文「金利と住宅価格」で、住宅価格上昇期と利上げ時期が重なった場合、金利が住宅価格を下落させる可能性は低く、住宅価格下落期と金利上昇期が重なった場合には、住宅価格と賃貸保証金相場が大幅に下落する可能性が高いと主張した。
実際に急激な利上げは不動産バブル崩壊につながることもある。日本銀行は1980年代に2.5%まで引き下げた政策金利を90年8月に6%まで急激に引き上げ、不動産バブル崩壊につながった。日本は利上げに加え、不動産融資を制限する総量規制まで導入した。米国の場合、2003年に1%だった政策金利が06年に5.25%まで上昇し、住宅価格下落と家庭の破産、銀行破綻へとつながり、全世界の金融危機を招いた。
急激な利下げは通常景気浮揚が目的だ。80年代末、日本はプラザ合意による「円高内需不況」を防ぐための低金利政策で不動産価格が急騰すると、金利を引き上げ、融資を制限した。米国も2000年代に入り、ドットコムバブルが崩壊すると、景気浮揚のために政策金利を1%まで引き下げ、信用度が低い個人にまで住宅担保融資を乱発し、金融危機へとつながった。コロナ大流行による景気低迷を防ぐための低金利・流動性拡大政策は80年代末の日本、2000年代初めの米国と似ている側面が多い。 車学峯(チャ・ハクボン)不動産専門記者
朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/12/29/2021122980032.html
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