北朝鮮、核実験の脅迫から5日後にまたミサイル挑発

 北朝鮮が25日午前、長距離巡航ミサイルとみられる発射体2発を発射した。今年に入って5回目のミサイル挑発となる。今月20日に党政治局会議で「対米信頼措置の全面再考」を明確にし、核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射の猶予(モラトリアム)撤回の可能性を示唆してから最初の武力示威だ。中国で開催予定の北京冬季オリンピックなど外部の要因とは関係なく、自分たちの計画表に従って核・ミサイル能力を向上させる意思を宣明したものと解釈されている。

  韓国軍はこの日、メディアが報じるまで北朝鮮による巡航ミサイル発射を発表しなかった。この日午前、韓国の保守系野党・国民の力の姜大植(カン・デシク)議員と韓国政府筋の言葉を韓国メディアが伝え、米国のブルームバーグなど外信が相次いで打電した後に韓国軍合同参謀本部はソウル市竜山区の韓国国防部(省に相当、以下同じ)庁舎でブリーフィングを行った。ミサイル発射から6時間近く過ぎていた。韓国軍は「国連安保理決議違反となる弾道ミサイル発射に関する内容だけを公開することが慣例」とコメントしたが、北朝鮮が先日核実験とICBM発射再開まで示唆し、北朝鮮の動向に関心が集まる状況でもあることから、「北朝鮮による挑発の動きはより積極的に公開すべきだった」との指摘も相次いでいる。

  合同参謀本部はこの日「正確な発射地点と射距離、方向は公開が難しい」と説明した。「韓米の監視資産のセキュリティがその理由」という趣旨だが、韓国軍の内外からは「正確に探知できなかったので具体的な情報を公開できないのでは」との見方も相次いでいる。実際に合同参謀本部のある関係者はこの日「低高度で発射される巡航ミサイルは地形や地物によって探知が難しい」と説明した。ただし「韓国側に飛来するミサイルは全て探知・迎撃できる」とコメントした。

  専門家は北朝鮮がこの日発射したミサイルについて、北朝鮮が昨年9月に「試験発射に成功した」と主張した長距離巡航ミサイル「北朝鮮版トマホーク」あるいはその改良型の可能性が高いとみている。当時北朝鮮は「長距離巡航ミサイルが7580秒(2時間6分)飛行し、150キロメートル先の標的に命中した」と主張した。北朝鮮の巡航ミサイルは東海上で長時間にわたりS字型に飛行したのだ。今回内陸で長時間飛行に成功したとすれば、地形に沿って低く飛行できる能力を確保し、米国のトマホークや韓国の巡航ミサイル「玄武3」のように性能が向上したとの見方も出ている。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が昨年1月の第8次党大会で開発を公言した新型の長距離巡航ミサイルの戦力化が近づいたということだ。

  巡航ミサイルは弾道ミサイルよりも速度は遅いが、通常はわずか数十キロ上空の低い高度を飛ぶためレーダーに探知されず正確度も高い。ある韓国政府筋は「北朝鮮が低高度で巡航ミサイルを発射したのであれば、探知は当然難しくなる」と指摘し、今回韓国軍が捕捉できなかった可能性を示唆した。北朝鮮は昨年の長距離巡航ミサイルの試験発射の際にも米国の情報網によって探知されたという。

  このような状況の中、韓国統一部の李仁栄(イ・インヨン)長官は「対話と協力だけが唯一の解決策」「終戦宣言や人道主義協力など平和の土台を築き上げたい」と述べた。李長官はこの日、ソウル市鍾路区の南北会談本部で開催された34カ国の駐韓大使と8つの国際機関関係者の集会に出席した。李長官は最近の韓半島情勢について「再び緊張と膠着(こうちゃく)の過去に戻りかねないという懸念も高まっている。そのため今からが重要だ」とした上で「今平和に向けた歩みを止めれば、再び平和を築くまでどれだけ多くの歳月と努力が必要になるかわからない」と訴えた。 ユ・ヨンウォン軍事専門記者、ウォン・ソンウ記者

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/01/26/2022012680005.html

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