中国人が経営する「ニセ韓国料理店」、欧州で増加(下)

 フランス・パリの観光スポット、ノートルダム大聖堂から徒歩15分。パリの中心街がある11区に評判のいい韓国料理店がある。フランス語と漢字で「BBQ coréen 韩国烧烤」(韓国式バーベキュー)と書かれた看板や、「Restaurant coréen」(韓国式レストラン)という文字も見える。キムチ・テンジャンチゲ(韓国みそ鍋)・プルコギ(焼肉)、各種チヂミなどがあって、見た目は確かに韓国料理店だ。インターネット上の料理店評価サイトの評価も5点満点中4.5点と非常に高かった。あるフランス人は「私がこれまで行った韓国料理店の中で、味もサービスも最高の店」と書いていた。 【写真】パリ市内で急速に増えている中国系韓国料理店  しかし、店メニューを見ると、ほかの韓国料理店とは違う所が目につく。サケ料理や子羊の料理など、韓国料理ではあまり見られないメニューがあった。中国料理の「カンプンギ」(鶏から揚げのピリ辛甘酢あんかけ)があるのも珍しい。何よりもメニューに中国語の簡体字で親切に説明が書かれていた。韓国人客が多いほかの韓国料理店とは違い、客は全員、現地の人々だった。近くに住む韓国系の人に聞いてみると、意外な答えが返ってきた。「あそこは本当の韓国料理店ではありません。中国人が経営している『中国系韓国料理店』です」。

  世界の文化と芸術の中心地パリで、中国系の人々が経営する韓国料理店が増えている。韓国系の人々は「現在、パリで営業中の中国系韓国料理店だけでも20店余りある」と話す。韓国系の人々が経営する200店以上の韓国料理店に比べると、それほど多くはない数字だ。だが、最近の韓流ドラマやK-POPの人気に代表される韓国文化ブームに乗って、その数は急増している。韓国系が多く暮らす15区で料理店を経営している韓国系在住者は「先日も近くに中国人が経営する韓国料理店ができた。本当に『雨後の竹の子』のように増えている気がする」と言った。

  パリだけではない。リヨンやマルセイユといったフランスの地方都市、ドイツのベルリンとフランクフルト、チェコのプラハなど、ヨーロッパのほかの大都市でも同様の現象が起こっている。ドイツ在住のある韓国人は「中国人観光客を相手に繁盛していた中国料理店が、新型コロナウイルス流行以降、売上が急減してしまったため、現地の人々が好む韓国料理店にメニューを変えている」と言った。「韓国式チキン」が大人気であることから、中国系の「チメク(チキン+ビール)ハウス」も誕生した。韓国を意味する「K」を店名に入れ、「ソウルから来た」とハングルで書いている店もある。

  これらの人々は現地の人々に合わせた味とサービスで急速に成長している。韓国料理の辛さを和らげ、甘辛い味にした。また、フードデリバリーサービスの「Uber Eats(ウーバーイーツ)」や「Deliveroo(デリバルー)」などはもちろん、「HungryPanda(熊猫外売)」や「ALORSFAIM(方円食里)」など中国系デリバリー・アプリを利用して積極的な配達営業を行っている。単品中心のメニューが多い韓国料理店とは違い、ランチメニューやセットなどのお得なメニューもある。営業方式をテイクアウト専門に変えた店もある。パリ2区のある中国系テイクアウト韓国料理店では、ランチタイムになると3-4メートルも行列が出来ているのを見かける。

  これら中国系韓国料理店では、物流や食材調達も中国のネットワークを利用している。各種の野菜や肉類はもちろん、韓国料理に欠かせないしょうゆ・トウガラシ・みそなども中国系スーパーから調達している。かなりの数の食材が中国産だ。ある韓国系の韓国料理店経営者は「最近、フランス北西部の海岸ノルマンディーに中国系キムチ工場ができた。中国系韓国料理店はそこからキムチを調達している」と語った。従業員には韓国系もいるが、中国系や東南アジア出身者が多い。価格も韓国系料理店と比べて10-20%安い。

  中国系韓国料理店に対する韓国系の人々の見方はさまざまだ。今のところはまだ「韓国文化に対するイメージがアップし、地位が上がっているから起こっている現象だ」と大目に見ている人が多い。「かつて日本料理が流行した時、猫もしゃくしも日本料理店を開業していたのと同じ状況だ」という声もある。だが、一部の韓国系在住者たちは「中国系韓国料理店は『ニセ韓国料理』をヨーロッパの人々に出している」「韓国料理の地位をおとしめ、本物の韓国料理を駆逐する『悪貨』になる恐れがある」と懸念している。

  「韓国料理店に対して『認証制』を実施すべきではないか」という意見もある。日本の場合、いわゆる「ニセ日本食」に対抗して、きちんとした日本食文化を知らしめようと、2006年に海外の日本食料理店に対する認証制導入を推進した。しかし、欧米のメディアが「文化国粋主義的な発想だ」と批判すると、日本政府は手を引いた。その代わり、「日本食レストラン海外普及推進機構(JRO)」という民間非営利団体(NPO)が登場、推奨マークを出している。 パリ=チョン・チョルファン特派員

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/01/29/2022012980025.html

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