韓国大統領選10日前に弾道ミサイルを発射した北朝鮮

 北朝鮮が28日ぶりに武力示威を再開した。今年に入って8回目の挑発だ。韓国で大統領選挙を10日後に控えた時期であり、また国際社会がロシアによるウクライナ侵攻で混乱する状況であっても北朝鮮は韓国と米国に圧力を加えるための挑発を今も続けているのだ。

  韓国軍合同参謀本部は27日「午前7時52分ごろ、平壌市の順安一帯から東海上に発射された弾道ミサイル1発を捕捉した」と発表した。探知された内容によると射程距離は約300キロ、高度は620キロほどだった。北朝鮮は1月だけで7回ミサイルを発射したが、北京冬季オリンピック期間中は挑発を自制していた。最大の友好国である中国で祝祭が終わるのを待ってから発射を再開したもので、再び本格的な挑発が続く可能性が高い。

  北朝鮮がミサイルを発射した直後、青瓦台(韓国大統領府)は徐薫(ソ・フン)国家安保室長主催の国家安全保障会議(NSC)を招集し「厳重な遺憾を表明する」と発表した。NSC委員らは「全世界がウクライナ戦争の解決に向け力を入れている状況で北朝鮮が弾道ミサイルを発射したのは望ましくない」と指摘した。弾道ミサイル発射は明らかに国連安保理決議違反なのに、青瓦台はこの日も北朝鮮の行為を「挑発」とせず糾弾もしなかったが、北朝鮮に対して「国際社会からの対話の呼び掛けに応じよ」と要求した。青瓦台は昨年9月15日に北朝鮮がミサイルを発射した際には「挑発」の表現を使ったが、北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)労働党副部長がこれを問題視してからは「挑発」という言葉を使っていない。

  今回のミサイルについて韓国軍合同参謀本部は「高角で発射された可能性を念頭に置いて分析中」ともコメントした。「北極星2型」あるいは「ノドン」(火星7型)などのミサイルが発射された可能性も考えられるようだ。5年前に開発した準中距離弾道ミサイル(MRBRM)「北極星2型」であれば、通常の角度(30-45度)で発射した場合の射程距離は最大で2000キロ前後になる。

  この種のミサイルを高角で発射した場合、下降時にはより大きなエネルギーで加速するため探知や迎撃が難しくなる。北朝鮮は2017年にも北極星2型を高角で発射したことがある。当時、韓国軍当局と専門家は北朝鮮による高角発射について「高高度防衛ミサイル(THAAD)を無力化する意図がある」と分析していた。

  韓国国防安保フォーラムのシン・ジョンウ専門研究委員は「今年に入って北朝鮮はさまざまなミサイルを多様なやり方で実験している」「韓米の迎撃網を自分たちの戦略でいくらでもかく乱し、無力化できるというメッセージが込められた武力示威だ」との見方を示した。

  この日、韓国軍合同参謀本部による北朝鮮弾道ミサイルの諸元公表はまたも日本より遅れた。日本の岸信夫防衛大臣は午前9時40分ごろ「北朝鮮の弾道ミサイルは高度が約600キロで飛翔(ひしょう)距離は300キロほどだった。落下地点は北朝鮮東側海上付近であり、日本の排他的経済水域(EEZ)の外と推定される」と説明した。合同参謀本部はこれよりも103分遅い午前11時23分に一連の内容を発表した。先月30日に北朝鮮がIRBM(中距離弾道ミサイル)を発射したときも日本の岸田文雄首相は4分後に最初の対応指示を出したが、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がNSCを招集するまでには93分かかった。

  韓国与党・共に民主党から大統領選挙に出馬している李在明(イ・ジェミョン)候補は「北朝鮮による挑発を強く糾弾する」「容認されない緊張行為」と批判した。李候補は「挑発」という表現を7回使った。共に民主党所属の国防委員らも「北朝鮮が繰り返し行っているミサイル挑発と露骨な選挙介入を糾弾する」と述べた。

  保守系野党・国民の力の尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補は「国際的な緊張に関わりなく今年に入って8回目のミサイル発射を行った」「同盟の強化よりも北朝鮮にばかり集中する現政権の無能さに国民は不安を感じている」と指摘した。国民の力の李俊錫(イ・ジュンソク)代表は「今年に入って何回目のミサイルなのか」とした上で「THAAD補強を求める候補と口先だけで終戦宣言ばかり繰り返し主張する候補のどちらを選択するのか」とコメントした。 ウォン・ソンウ記者

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/02/28/2022022880013.html

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