飲食店主に無断で盗聴装置、住居侵入罪に当たらず=韓国大法院が判断

 飲食店で同席者との会話を録音するため、店主に無断で録音装置を設置した行為は住居侵入罪には当たらないとする大法院の判断が示された。1997年に大法院は同様の「フグ料理店チョウォン事件」で有罪判決を下しているが、26年ぶりに判例が変更されたことになる。

  大法院全員合議体(大法廷)は24日、住居侵入罪で起訴されたAさんらの上告審で無罪判決を言い渡した。全羅南道光陽市の輸送会社社員であるAさん、Bさんは2015年、会社に不利な記事を書いた記者に食事の接待を行い、記者が不適切な要求をした場合、それを録音しようと考え、飲食店に先乗りし、録音装置と録画装置を設置した。一審は住居侵入に当たるとして有罪とし、2人に懲役4月、執行猶予2年を言い渡した。

  しかし、二審はAさんらの行為に違法性はないとして、住居侵入罪を認めず、無罪を言い渡した。通信秘密保護法によれば、他人の会話を録音したのでなければ、違法行為とは見なせず、盗聴装置を設置するために飲食店に立ち入ったことだけで店主の意思に反したことにはならず、住居侵入罪は成立しないとの判断だった。

  大法院も「Aさんらが飲食店の店主から承諾を受け、通常の方法で店に出入りしている以上、事実上の平穏状態が侵害されたと見なすことはできず、侵入行為には該当しない」として、無罪を確定させた。

  問題の事件は、1992年の大統領選を控えた「フグ料理店チョウォン事件」と類似しており、注目を集めた。当時の金淇春(キム・ギチュン)法務部長官らは釜山市のフグ料理店「チョウォン」に集まり、民主自由党の金泳三(キム・ヨンサム)候補を当選させるため、選挙に関する会話を交わした。その際、統一国民党が盗聴装置をあらかじめ設置し、会話内容を録音した後、メディアに暴露した。盗聴装置を設置した統一国民党の関係者は住居侵入罪で起訴され、1997年に大法院は「一般人の出入りが認められた飲食店だとしても、店主の明示的または推定的な意思に反して立ち入ったとすれば、住居侵入罪が成立する」として、有罪判決を下した。 イ・ジョング記者

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/03/25/2022032580095.html

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