文大統領・尹次期大統領が会談、執務室移転・人事・補正予算で意見交換するも具体的な合意には至らず(上)

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領と尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領による28日の会談後、尹次期大統領側の張済元(チャン・ジェウォン)秘書室長は「互いを尊重しているように感じた。二人の意見の違いは私としては感じられなかった」と述べた。ただし大統領執務室の竜山移転、任期末の人事問題、李明博(イ・ミョンバク)元大統領の赦免、コロナによる損失補償目的の補正予算などに関する具体的な合意は発表されなかった。新旧権力による協力関係進展の糸口はみられたが、今後数々の懸案について互いの立場の違いを調整する課題は残った。 【写真】会談前の文大統領と尹次期大統領=青瓦台 ■大統領執務室の竜山移転  会談で執務室の竜山移転問題については青瓦台(韓国大統領府)の兪英民(ユ・ヨンミン)秘書室長が先に切り出したという。尹次期大統領は「これまで現実的な困難故にできなかったが、今後は国民と共にある時代を切り開いていきたい」として移転の趣旨について説明したという。これに対して文大統領は基本的には「協力したい」との考えを示した。しかし双方の具体的な立場は微妙に違っていた。まず執務室移転そのものについて文大統領は「執務室の移転先に関する判断は次期政府のやること」と述べたという。同席した張秘書室長が伝えた。文大統領としては基本的に執務室移転に賛成ではないが、尹次期大統領が移転するのならどうしようもないという意味に解釈できる。

  移転の時期について張秘書室長は「その問題について二人はどの時期までに可能とかそうでないとかの話はしなかった」と伝えた。移転の時期は執務室移転に関する予備費の予算を文大統領がいつ承認するかに懸かっている。尹次期大統領側は今回の会談をきっかけに、文大統領が執務室移転に必要な486億ウォン(約49億1000万円)の予算を国務会議(閣議)で議決するとの約束に応じることを内心望んでいた。これについて文大統領は「今の政府としては移転計画に伴う正確な予算を綿密にチェックした上で協力したい」と述べたという。張秘書室長が明らかにした。

  文大統領は尹次期大統領に「正確な」移転計画を求め、それを提出すれば「綿密に」検討すると言ったわけだ。一種の「条件付き」で移転への協力を約束した形だが、尹次期大統領側としては「文大統領の反応は当初の期待ほどではなかった」とも考えられる。張秘書室長は「私が感じたところでは、実務の面でその時期や移転の内容などについて(双方が)共有し、大統領が協力するという意味に理解した」と述べた。しかし短期間で竜山移転に関する合意に至るのは簡単ではなさそうだ。29日には国務会議(閣議)が予定されているが、張秘書室長は「明日(29日)の国務会議や予備費に関する話は出なかった」「金額や妥当性などについて綿密に検討すると言ったので、明日は簡単ではないだろう」との見方を示した。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/03/29/2022032980042.html

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