トランプ前大統領は任期末人事でバイデン陣営と対立、仏首相は新大統領の人事に配慮し選挙後に辞任

 2020年の米国大統領選挙で敗れたトランプ前大統領が選挙結果に不満を持ち、共和党も各地で選挙結果に疑問を呈する訴えを起こすなど、米国では権力交代期に大きな対立が表面化した。1896年の大統領選挙以来定着した敗者による承服の伝統が破れたのは124年ぶりだったが、米国で新旧の権力が対立する事例は実はそれ以前にもあった。

  韓国の国会立法調査処の資料によると、韓国の大統領職引き継ぎ委員会は関連する法律に基づいて設立される公的機関だが、米国の大統領職引き継ぎチームは民間の組織という点で異なる。現職の大統領と次期大統領の引き継ぎチームとの関係は、双方の合意事項が記載された覚書を取り交わすことで定まる一種の契約関係だ。ただし1960年の大統領選挙で当選したジョン・F・ケネディ大統領は当選直後、引き継ぎチームの運営に30万ドル(現在のレートで約3700万円)の私費を使い、その後政府の予算や施設、人材を使って引き継ぎチーム運営支援の根拠となる「大統領職引き継ぎ法」を制定した。この法律により現職大統領と有力候補らは大統領選挙が行われる前から覚書を締結しなければならない。通常は選挙の6カ月前から各候補は引き継ぎチームを立ち上げ当選に備える。

  ジョージ・H・W・ブッシュ大統領(共和党)は後任のクリントン大統領(民主党)に重要な内容を手紙で伝えるなど、比較的良好な関係だった。ところがクリントン大統領からジョージ・W・ブッシュ大統領(共和党)に政権交代する際、クリントン大統領は任期終了の直前になって重要な決定を次々と下し、ブッシュ大統領側がこれを公開批判するなど対立が表面化した。とりわけトランプ前大統領は前任とも後任ともいずれも関係が破綻した。2017年にオバマ前大統領側はトランプ大統領側とやりとりした電子メールについて、これをトランプ在任中に表面化したロシア介入疑惑を捜査する特別検事に捜査資料として提供した。これを知ったトランプ大統領は大統領職引き継ぎ法を大きく見直し、その期間を2カ月と大幅に短縮し、機密の手続きも強化した。2020年の大統領選挙で再選に失敗したトランプ大統領は選挙結果に承服せず、退任を前に人事権を最大限行使し、政府の重要ポストに自らの息のかかった人物を据えバイデン大統領側が反発した。

  フランスも大統領制が導入されているが、選挙結果が出てから1-2週間で新しい大統領が就任するため引き継ぎのプロセスは簡略化されている。大統領選挙結果が発表されると首相は慣例に基づき退任する大統領に辞意を伝える。エリゼ宮殿で開催される新旧大統領の引き継ぎで退任する大統領は後任者と二人で会い、核兵器作動コードなど機密文献を引き渡す。選挙戦が激しかった2012年の移譲式ではオランド大統領が前任者を最後まで見送る慣例を破り、退任するサルコジ大統領が車に乗る前に背を向けたことで大きな問題となった。

  議院内閣制のドイツと英国では首相は選出と同時に就任するため引き継ぎの期間はない。ただし現職首相の裁量により有力な野党指導者に引き継ぎ準備のための期間を提供することがある。ドイツのメルケル前首相は退任前の最後のG20(20カ国・地域)首脳会議にその時点で対立政党に所属していたショルツ現首相を出席させ他国の首脳らに紹介した。これによりメルケル氏は「ドイツ政治の品格を示した」と高い評価を受けた。 ワシントン=金真明(キム・ジンミョン)特派員、ペク・スジン記者

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/03/28/2022032880060.html

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