【社説】労働運動の正常化なくして国家経済の回復は難しい

  民主労総が来月1日のメーデーを控え国際労働機関(ILO)核心協約批准を圧迫するための「100万人労働者闘争」を宣言した。7月には公共部門の非正規職ストも予告した。来月には韓国労総所属の自動車労連と民労総所属の現代自動車労組、カード会社労組などが先を争ってストを問う組合員による投票を経てストに入る態勢だ。今年の春季賃金交渉(春闘)がいつになく厳しいと予想される理由だ。

  もちろん労組が労働者の労働条件と処遇向上を図るのは当然のことだ。だがストで脅す労組の要求事項を見ると賃金団体交渉の範囲を超えた事項が少なくない。政府のILO核心協約批准問題や弾力労働制単位期間拡大などが代表的だ。政府が各経済主導者の利害を広く反映し経済全体を考えて慎重に決めなければならない事項だ。それでも民主労総は国会が弾力勤務制議論を始める場合には即時ストに突入すると脅している。経済全体ではなく自身の利害関係にだけ執着する利己的な態度だ。しかも民主労総は大統領をはじめとする社会各界の要請にもかかわらず、弾力労働制を議論する経済社会労働委員会に参加していない。対話は拒否しながら結果は自分たちの思い通りにしてほしいというのが「民主」を看板に掲げた労働団体の態度なのか問いたい。

  経済・社会的代価を考えない労組の無理な要求はこれだけではない。韓国労総は先月傘下組織に配布した指針で賃金引き上げ率を正規職7.5%、非正規職16.8%と提示した。昨年7月に週52時間勤務制が導入され特別勤務手当てのような労働者の収入も減少したという理由からだ。労働時間短縮により追加雇用または生産性悪化などで費用を払う企業は眼中にない。企業が完全でこそ自分たちの収入と暮らしの基盤も安定するという話だ。現代自動車労組は賃金交渉とは別に定年退職者発生にともなう1万人の正規職採用を主張している。景気と経営戦略により決定されなければならない事項をめぐり労組がああしろこうしろという。これだから企業が投資する気にならないのは当然だ。

  労組は経済的に弱者である労働者が団結した団体だ。弱者が自分の考えを貫徹するには法に忠実に従ったり国民の共感と支持を得られる明確な名分と根拠を掲げなければならない。だが韓国の労組はそうした共感よりは力で自分の考えを貫徹しようとする。政権が変わってからそうした性向が増えてきた。それでも政府は労組の暴力デモと占拠座り込みに優柔不断に対処する。だから労組がさらに自身の役割を忘却し自分たちが法の上にあるかのように行動する。国民の共感と支持も眼中にない。しかもその大多数は国民の平均所得よりはるかに多くの所得がある貴族労組だ。こうした労働運動形態を根絶し正常化しなくてはこの国の経済に未来はない。

  

中央日報 https://japanese.joins.com/article/894/252894.html

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