【コラム】耐え難くムズムズさせる「韓国大学生進歩連合」

 軍隊から戻ってきて復学した1990年代初め、学生デモ隊の中に、ニューヨーク・ヤンキースのロゴが付いた野球帽をかぶっている人を見つけた。私は主思派(北朝鮮の主体思想を支持する勢力)でもなく、学生運動の中心的な活動家でもなかったが、その二律背反なありさまは納得し難かった。まだ学生運動の基底に反米主義、もしくは少なくともファッションとしての反米主義が残っていた時代だった。帽子に「ヤンキー・ゴー・ホーム」と書いて回ることまではさすがになかったが、ヤンキースの帽子をかぶった学生デモ隊の姿は、あまりにも異質だった。その日、友人たちとそういうテーマをさかなにマッコリを飲み、世代の差をうんぬんした記憶がある。

  今の大学生らは、総学生会を中心に集まることはしない。会長や議長といったリーダーもいない。問題を認知した時点で、ソーシャルメディアで同時多発的に集結し、エネルギーを爆発させる。全大協(全国大学生代表者協議会)だとか韓総連(韓国大学総学生会連合)だとかいう団体が学生運動を引っ張っていた時代とは全く違う。こういう手法を取るのが近ごろの学生運動、デモであって、その効果はかつての世代に劣らない。ヤンキースであれドジャースであれ好きな帽子をかぶることと、何らかの社会的主張との間には、何の相関もない。これは世代の差で説明されることではなく、そうする必要もない。

  だがある時から、極めて古典的なスタイルの学生運動団体がニュースに登場するようになっている。「白頭称頌(しょう)委員会」だとか「偉人を迎える歓迎団」だとかいうものをつくり出した大学生団体だ。この団体もソーシャルメディアを利用するが、街頭でプラカードを掲げてデモをやり、セミナーや討論会も開く。こういうやり方の学生運動はほとんど消えてしまった時代なので、彼らの姿は余計目につく。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/06/28/2019062880156.html

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