【萬物相】「芸は熊がやり、カネは熊使いがかすめ取った」

 2002年、ソルトレークシティー冬季オリンピックのショートトラック男子1000メートル決勝は金メダルの予測がつかない試合だった。韓国の安賢洙(アン・ヒョンス)をはじめ米国のアントン・オーノ、中国の李佳軍が上がってきたからだ。逆にオーストラリアのスティーブン・ブラッドバリーは、最下位なのが明らかだった。予選で他の選手が転んだり失格になったりしたことにより、ツキで上がってきた選手だった。ところが決勝の最終コーナー区間で、先頭の4人がもつれ合いながら全員転んでしまった。少し距離を離されていたのに決勝ラインを1着で突破したブラッドバリーは、オーストラリアはもちろん南半球で初の冬季五輪金メダリストになった。「芸は熊がやり、カネはトェノムがかすめ取った」わけだ。

  この言葉は、苦労する人間と利益を手にする人間が別々、という意味だ。朝鮮王朝時代に清の馬芸団を見物した人々が作り出した言葉だという。トェノムとは中国人をさげすむ言葉で、丁卯(ていぼう)・丙子胡乱(1627年の後金の朝鮮侵略および1636-37年の清の朝鮮侵略)に遭う中で生まれた。「ウェノムは解き櫛(くし)、トェノムはすき櫛」というほどだった。日本人(ウェノム)は目の粗い櫛でこそいでいき、中国人は目の細かい櫛ですっかりかき取っていく-という意味だ。

  エルビス・プレスリーは年に500万ドル(現在のレートで約5億4000万円、以下同じ)も稼いだが、亡くなった後、彼の通帳の残高は思っていたより少なかった。プレスリーのマネージャーを務めていた「カーネル・パーカー」が、プレスリーの収入の半分を横取りしていたからだ。プレスリーは一度も外国公演を行わなかった。オランダ生まれの不法滞在者で米国を離れることができなかったパーカーが「米国で十分稼げるのだからワールドツアーをやる必要はない」と言ったからだ。パーカーはプレスリーの葬儀を終えた日にも、ニューヨークに飛んで記念品の販売契約で数千万ドル(1000万ドル=約10億7600万円)を稼いだ。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/05/29/2020052980133.html

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