産業革命遺産の「登録取り消し」可能か 日本の約束無視に韓国要請

【ソウル聯合ニュース】国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」(23施設)に対し、韓国政府と国民の批判、反発が強まっている。同遺産には朝鮮半島出身者の強制労働が行われた長崎市の端島炭坑(軍艦島)などが含まれている。2015年の世界遺産登録にあたり、日本は朝鮮半島出身者などが意思に反して一部の施設に連れて来られ、厳しい環境で働かされたとしながら、犠牲者を記憶するための情報センター設置などを進めると表明した。この約束を守っていないにもかかわらず、日本は「約束した措置を誠実に履行してきた」(菅義偉官房長官)と主張している。 ◇登録時の約束守らず 世界遺産委の勧告にも従わず  日本は17年12月にユネスコ側に提出した産業革命遺産に関する報告書で、「強制(forced)」という言葉を使わず、国家総動員法により戦前と戦中、戦後に日本の産業を「支援(support)」した多くの朝鮮半島出身者がいたという表現を用いた。また、情報センターも長崎県でなく、東京に設置すると記した。  18年6月下旬から7月初めに開催された世界遺産員会は、日本が提出したこの報告書を検討した後の決議で、産業革命遺産が登録される際の15年の決議に言及し、これを忠実に履行するよう求めた。  15年の決議は、日本に対し各施設の歴史全体を理解できる説明(展示)戦略を策定するよう勧告。また、歴史全体の解釈において国際的な模範事例を考慮することと、当事国間の持続的な対話を促した。18年の世界遺産委員会で審議するために、進捗状況を17年12月1日までに世界遺産センターに報告することも要請した。  これに対し日本は、15年の決議に盛り込まれた勧告を誠実に履行してきたとしながら、説明戦略や情報センター設置、持続的な対話を含め、すべての勧告を履行していく意思をあらためて表明した。  だが、日本は19年12月1日までに提出を要請された2回目の報告書でも、強制労働を認めず、犠牲者を記憶するための措置も盛り込まなかった。  今月、東京で一般公開が始まった「産業遺産情報センター」には、「約束違反」の批判を逃れようとする日本の思惑が透けて見える。15年の登録時に日本政府の代表が発言した内容をそのまま展示に記した。また、朝鮮半島出身者が軍艦島などで差別的な待遇を受けたことはなかったという証言を紹介するなど、歴史をねじ曲げている。こうした情報センターの設置では、歴史全体を説明せよという世界遺産委員会の勧告を履行したことにはならない。 ◇登録取り消しの要件は? 今年の世界遺産委日程は未定   今年開催される世界遺産委員会は、19年12月に日本が提出した報告書を検討する予定だ。韓国文化財庁は今年4月20日、日本が約束を履行したか厳密な検討を求める書簡を同庁トップの名義で世界遺産センターに送った。同庁は今月25日、5月12日付で「公正な評価を行い、世界遺産委員会で検討する」との回答があったことを明らかにした。  また、韓国政府は今月22日にユネスコ事務局長宛てに書簡を送り、産業革命遺産の世界遺産登録取り消しが手続き上可能か、検討を要請した。外交部の金仁チョル(キム・インチョル)報道官は翌日、「登録取り消しの可能性の検討を含め、世界遺産委員会で日本に忠実な措置の履行を促す決議が採択されるよう積極的な協力と支持を要請した」と説明した。同部当局者は、世界遺産委員会の規定では遺産そのものが損なわれたかしっかり保全されていない場合に限り登録取り消しが可能となっているため、今回のように登録当時の約束が守られていないケースでも登録取り消しが可能か、確認する必要があったと補足した。  登録取り消しには、世界遺産委員会の委員国のうち3分の2以上の賛成が必要。  一方、6月29~7月9日に予定されていた世界遺産委員会は、新型コロナウイルスの影響で延期された。日程はいまも未定だ。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/06/29/2020062980113.html

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