大統領だけがコントロールできる

 与党共に民主党と政府・青瓦台が30日に示した権力機関再編案によると、警察は一次捜査権を持つと同時に5級以下の公職者の捜査を事実上、独占して担当することになる。また、国家情報院から対共産捜査権の移管を受ける。さらに3000人に達する既存の情報警察の存在を考えると、検察を上回る権力機関としての地位を確立するとみられる。

  問題はこのように肥大化した警察を誰がコントロールするかだ。警察の首長である警察庁長は大統領が任命する。行政安全部長官が警察事務を指揮・監督するとはいえ、歴代政権を見れば、青瓦台が政務首席秘書官室の社会安全秘書官などを通じ、警察に直接・間接の影響力を行使してきた。捜査権と強大な情報収集体制を持つ機関に要求される政治的中立性と独立性が大統領を頂点とする権力の影響を受ける可能性がある。

  現職の金昌竜(キム・チャンリョン)警察庁長は与党内で「文在寅(ムン・ジェイン)大統領が名前を知る数少ない警察官」と呼ばれるほど文大統領の信任が厚い。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権下で青瓦台に派遣されていた金氏は在米韓国大使館の駐在官(警務官)を経て、現政権発足から半年後の2017年末に帰国した。それから2年半、慶南地方警察庁長、釜山地方警察庁長(治安正監)を経て、7月に警察庁長(治安総監)に任命された。野党関係者は「政権が大統領側近を庁長に任命することで、警察を掌握する可能性があるにもかかわらず、適正なコントロール装置はない状況だ」と語った。

  検察・警察の捜査権見直しに伴い、警察庁傘下に設置される国家捜査本部は、地方警察庁、警察署に設置される捜査組織を統括する。警察庁長は国家捜査本部に捜査方向など具体的な捜査指揮をできないことになっているが、捜査規則順守など一般的な捜査指揮はできる。有力市民団体、参与連帯は権力構造再編案について、「国家捜査本部長の捜査独立性をどうやって確保するのかに関する言及が全くない」と指摘した。

  与党・政府・青瓦台が導入を決めた自治警察制の副作用を懸念する声もある。仮に広域市長や道知事が自治警察の人事に関与することになれば、自治警察は政治的中立性を失ったり、地元勢力と結び付いたりする懸念がある。警察委員会と自治警察委員会がコントロール機能を果たすとの主張もあるが、事実上「諮問機関」の性格を帯びた委員会が「恐竜警察」をまともにコントロールできるのかという疑問の声も上がっている。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/07/31/2020073180044.html

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