【コラム】ホワイトハウスの参謀は未明に大統領を起こした

 北朝鮮が西海(黄海)で韓国国民を銃で射殺し、遺体を焼却してから60日以上が過ぎた。現政権はこの事件を取り上げることを嫌う。事件は徐々に忘れられることだろう。しかし、そうであってはならない。国家と大統領がなぜ存在しなければならないのか、現政権がどれほど無能で無責任だったのかを見せ付けた事件となったからだ。現政権が「セウォル号の7時間」に執拗(しつよう)に食い下がったからではない。容易に忘れれば、政権が変わっても同じことが繰り返されるかもしれないためだ。

  文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、韓国の公務員が行方不明になった9月22日午後6時30分、最初の書面報告を受けた。銃撃された状況や遺体の損傷については確認される前のことだった。積極的に対応していれば、状況悪化を防ぐこともできた。しかし、大統領は何もしなかった。軍は同日午後10時30分に銃撃された事実と遺体の損傷について大統領府に報告し、翌午前1時に大統領府で緊急会議が開かれたものの、大統領は出席しなかった。悲惨な死は、その日の午前8時30分、大統領に報告されたという。国民が死んだのに、参謀らは大統領を起こさず、大統領はそのまま眠っていたのだ。

  与党関係者は「仕方がなかった」「大統領にも方法がなかっただろう」と口をそろえる。大統領側近のユン・ゴンヨン議員はテレビに出演し「未明に(この事件を大統領に)報告した際に取れる措置は、非常に制限的ではないか」と語った。その可能性もあるが、言ってはいけない言葉だった。国家は国民の生命と安全に対し無限の責任があり、大統領は国家の独立を守り、国民を保護しなければならない。これが憲法に規定された大統領の責務というものだ。何か努力でもしたのと、そのまま寝ていたのとでは、天と地の差だ。公務員の息子が「国は何をしていたのか」と聞いたというが、どれほどいたたまれなかったことだろうか。

  2009年4月、欧州を歴訪中だったオバマ大統領に随行していたホワイトハウスのロバート・ギブス報道官は午前4時30分(現地時間)、眠っている大統領を起こし、北朝鮮の長距離ロケットが発射されたことを伝えた。オバマ大統領は直ちにホワイトハウスの参謀たちに電話をかけて状況報告を受け、対応策を指示した。これが正常な国家であり、大統領ではないか。遠い国からロケットが発射されたのと、国民が目の前で銃殺されたのでは、どちらがより緊迫していると思うのか。 ■「世界で最も平和な国」1位はアイスランド、韓国48位、TOP10は?

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/11/27/2020112780123.html

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