【コラム】反企業感情をあおる人々

 SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長が今年3月に韓国を代表する経済団体・大韓商工会議所の会長に就任した際、まず着手したことの一つは「なぜ反企業感情が生まれるのか、その原因を把握する」ことだった。企業や企業経営者に対する反感が高まれば、最終的に企業に対する規制につながるからだ。

  人々がいつから企業や企業経営者を嫌うようになったのか正確な資料はないが、大韓民国政府樹立直後の1940年代末や1950年代も企業に対する反感が強かったというくらい、反企業感情の根は深い。大企業を嫌うのは韓国だけの現象ではない。昨年実施されたギャラップ社の世論調査によると、米国で大企業を「とても信頼している」という回答は7%、「かなり信頼している」という回答は12%に過ぎなかったという。

  企業は、我々が必要としているほぼすべての製品を生産している。そして何よりも人々に働く場を提供している。米国の著名な経済学者でジョージ・メイソン大学のタイラー・コーエン教授は「雇用は我々の自負心の最も大きな源泉の一つであり、社会的ネットワークを形成する重要な手段だ」と言った。それならばなぜ、我々にとって必要なものを与える企業に対する反感はなくならないのだろうか。

  高麗大学のキム・スハン教授とイ・ミョンジン教授が書いた本『韓国社会の反企業文化』は、人々が企業や企業経営者を嫌うようになった理由について、大きくわけて二つあるとしている。一つめは企業や企業経営者が政権と密接な関係を結んで優遇措置を受けてきた点だ。李承晩(イ・スンマン)政権は韓国戦争(朝鮮戦争)からの復興過程で特定企業に優遇措置を与えたし、後の朴正熙(パク・チョンヒ)政権や軍部統治時代も大して変わらなかった。人々は優遇措置により成長した企業の正当性を認めず、企業や企業経営者を信頼しなかった。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/06/29/2021062980242.html

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