21世紀の日本には「三種の神器」がある(上)

ファクス・印鑑・紙に執着する日本 なぜアナログシステムにこだわるのか #1. 日本の人気グループ「SMAP」出身の草なぎ剛(47)が昨年末、一般人女性と結婚した。韓国でも「チョナン・カン」という芸名で活動している代表的な親韓派の歌手・俳優だ。NHKは「所属事務所がメディアにファクスを送り、結婚の事実を知らせた」と報じた。結婚のニュースそのものより注目を集めたのが、結婚ニュースを「ファクスで知らせた」という部分。 【グラフ】年齢層別に見た日本のファクス保有率 #2. ネットフリックスで放送中の日本ドラマ『100万円の女たち』にも、ファクスがしばしば登場する。同タイトルの漫画を原作とするこのドラマで、無名小説家の男性主人公は5人の女性たちと奇妙な同居をする。男を苦しめる呪いのメッセージが、毎日のように居室のファクスに届く。スマートフォンのショートメールや電子メールではなく、紙に筆で字を書いた「ファクスストーキング」だから。

  韓国では姿を消しつつあるファクスが、日本では依然として現役だ。政府の各部門、企業のオフィスはもちろん一般家庭まで、ファクスを愛用する文化が深く根を下ろしている。昨年、人口2000万人を超える東京都がわずか2台のファクスを利用してコロナの新規患者数を集計していたが、確定患者の統計がめちゃくちゃになった-というのが端的な例だ。医師が患者の情報を書いた「発生申告書」を作って管轄の保健所にファクスで送ると、保健所はこれを確認して東京都にファクスを送り、都庁のコロナ対策本部がこれを集計して発表するというやり方だった。陽性判定から公表まで実に3日もかかる上、感染者数の集計漏れがあったり重複集計があったりすることが判明し、論争になった。 ■ファクス・印鑑・紙…21世紀の「三種の神器」  日本には「三種の神器」という言葉がある。もともとは建国神話に出て来る「鏡・剣・勾玉(まがたま)」を指す言葉で、皇室に代々伝えられてきた国の宝を意味する。1950年代末から60年代にかけて、この言葉は「必須家電製品」という意味に変わった。日本が高度成長を実現する中、どの家庭でもそろえる家電製品という意味で、洗濯機・冷蔵庫・白黒テレビが「現代版・三種の神器」と呼ばれた。

  ところが最近ではファクス・印鑑・紙が「21世紀版・三種の神器」だという話が出ている。韓国外語大融合日本地域学部のイ・チャンミン教授は「大抵のオフィスや家庭ではまだこの三種の神器を持っているという、日本のアナログな状況を皮肉る自嘲混じりの言葉」と説明した。総務省が昨年実施した「情報通信機器の保有状況」調査の結果を見ると、40代の4人に1人(25.8%)、50-70代に至っては半数近くがファクスを持っていると回答した。

  菅義偉内閣はデジタル改革を最優先課題に掲げ、これを推進する「デジタル庁」が9月1日に公式発足した。だが公務員社会からの反発は強い。今年6月に行政改革・規制改革担当の河野太郎大臣が「省庁内ファクス廃止」方針を発表すると、わずか1カ月半で各省庁から400件を超える反論が提出された。「電子メールはサイバー攻撃による情報流出の恐れがある」「国会議員が依然としてファクスを好んでおり、現実的に難しい」という意見が殺到した。

  コロナ問題で世界が在宅勤務体制に突入したが、日本では「よその国の話」にすぎない。「契約の書類に印鑑を押すため」「取引先から来るファクスを受け取るため」、取りあえず出勤しないといけないからだ。電子メールより郵便を好む文化も、在宅勤務の壁。東京のある企業に3年勤めているパクさん(35)は「注文書が電子メールではなく郵便で届くので、仕方なく会社に行くしかない」と語った。

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/11/26/2021112680125.html

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