困窮家庭に温かい食事を 日本式ラーメン店経営の金祁ボンさん
【仁川聯合ニュース】「ほんのわずかでも余裕があるなら、分かち合いは難しいものではないということを広く知ってもらいたい」――。韓国・ソウル近郊、仁川市の松島国際都市で日本式ラーメン店を営む金祁ボン(キム・ギボンさん、44)は、生活が苦しい家庭を対象に食事を無料提供している。 金さんが食事の無料提供を始めたのは今年5月、当初は5世帯が対象だった。自身の店で8000ウォン(約780円)~1万5000ウォンで出しているメニューを好きなだけ食べてもらうようにした。 そのうち、もう少し多くの人と分かち合いたいと考えるようになり、10月には支援対象の家庭を40~50世帯に増やした。同行者がいれば、人数に関係なく食事を提供している。 金さんは「日ごろお世話になっているありがたい隣人に楽な気持ちで一食を味わってもらいたいという、ささやかな手助けのつもり」と語る。自分の店に来て、周囲を見回す心の余裕を取り戻してもらいたかったのだという。 来店が難しい家庭には弁当を届けている。小学生以下の子どもがいれば、おやつの詰め合わせを添えることも忘れない。 金さんはまた、ソウルで製麺工場も運営している。毎月、同市九老区のフードマーケットに4人前入りの麺を120袋、計400万~500万ウォン相当を提供している。 金さんがこうした助け合いの心に目覚めたのは、母校の設立者で、全財産を社会に還元したことで知られている実業家の故柳一韓(ユ・イルハン)博士の影響だという。金さんは2003年から食事提供のボランティア活動をするなど、さまざまな取り組みを進め、今年は地元自治体と協議した上で、困窮家庭に対する体系的な支援に乗り出した。「大変な時期に周りの小さな配慮と分かち合いがどれほど大きな力になるのかを実感しているからこそ、できる範囲で最大限役立つことを」という願いからだ。 一方、19年に日本が韓国に対する輸出規制措置を強化すると韓日関係は冷え込み、韓国では日本製品の不買運動が起きた。日本式のメニューをそろえる金さんの店も売り上げの減少を余儀なくされた。さらに昨年には新型コロナウイルスの感染が拡大し、14店あった加盟店のうち11店が閉店に追い込まれ、製麺工場も打撃を受けた。 こうした厳しい状況の中、高校時代の恩師で日本語教師である白金鍾(ペク・クムジョン)さんは週1回、片道2時間かけて金さんの店を訪れては食事をし、さらに5、6人分を持ち帰りして売り上げを応援した。どんな励ましの言葉以上に力強い応援になったという。 年末を迎える来月には、食事の提供先を80世帯に増やす計画だ。より多くの隣人を迎える準備をしている。
朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/11/25/2021112580149.html
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