また探知に失敗した韓国軍、北朝鮮のミサイルは内陸ではなく東海上を飛行

 今月25日に北朝鮮が発射した巡航ミサイルの発射位置を韓国軍当局が正確に探知できなかったことが28日までにわかった。韓国軍は当初「内陸でミサイルが発射され飛行した」と発表したが、北朝鮮は「東海上にミサイルを発射した」と公表したのだ。韓国軍は今月14日に弾道ミサイルが発射された位置を正確に観測できなかったが、今回も探知の失敗が繰り返されたとの指摘も出ている。  北朝鮮は長距離巡航ミサイルについて「東海上に設定された飛行軌道に沿って9137秒(2時間32分17秒)飛行し、1800キロ界線の目標の島に命中した」と発表した。労働新聞が公開した写真をみると、海岸沿いで移動式の発射車両(TEL)を使い海に向けてミサイルを発射している。標的は東海上のある無人島だった。

  ところが韓国軍合同参謀本部は発射当日の25日に行ったブリーフィングで「東海ではなく内陸で相当部分飛行したようだ」「発射地域は東海ではない」と説明していた。北朝鮮はこれら合同参謀本部の探知とは異なる内容を公表したわけだが、これについて合同参謀本部は「北朝鮮の発表は事実ではない可能性もある」と考えているようだ。ある韓国政府筋は「北朝鮮がミサイルを東海の北東方向に発射した場合、レーダーなどの監視資産では100%正確に探知するのは難しい」と述べた。

  合同参謀本部は14日に北朝鮮が発射した短距離弾道ミサイル(KN23、北朝鮮版イスカンデル)の発射位置も正確に探知できなかった。合同参謀本部は当時「ミサイル2発が平安北道義州郡から発射された」と発表したが、実際の発射位置は義州から南に20キロ離れた平安北道枇峴郡だった。このように合同参謀本部の探知失敗が繰り返されたことを受け、韓国軍の内外からは「偵察衛星など監視資産の拡充を急ぐべきだ」との指摘も出ている。

  北朝鮮がこの日公開した長距離巡航ミサイルは昨年9月に発射したものと比べその性能はさらに向上している。飛行距離は300キロ、飛行時間は1557秒(25分57秒)長くなった。射程距離1800キロの巡航ミサイルは韓半島はもちろん、日本の沖縄に駐留している在日米軍基地も攻撃が可能だ。北朝鮮は長距離巡航ミサイルに核弾頭を搭載した非常に威力の強い「戦略兵器」として開発を進めている。「今後は潜水艦から地上を攻撃する巡航ミサイル(SLCM)への改良も可能」との見方もある。

  一方で北朝鮮は27日に実施した地対地戦術誘導弾(短距離弾道ミサイル)の発射試験にも成功したことを明らかにした。弾頭改良型のKN23とみられるこのミサイルの飛行距離は190キロ、高度は20キロほどと探知された。これまで北朝鮮が発射した弾道ミサイルの中では最も高度が低く、最低迎撃高度が50キロのTHAAD(在韓米軍の高高度防衛ミサイル)を含む迎撃網を無力化する意図がこの試験発射からうかがい知ることができる。専門家は「北朝鮮はこのミサイルに地下貫通弾や熱圧力弾、拡散弾など新型の弾頭を装着し、破壊力を最大限に高める可能性もある」と見ている。

  北朝鮮が同じ日に短距離弾道ミサイルと長距離巡航ミサイルの試験発射成功を公表した背景には、弾種、高度、発射地域を多様化する戦術で軍事力を最大限に誇示する意図がありそうだ。韓国国防安保フォーラムのシン・ジョンウ専門研究委員は「昨年の第8次党大会で開発を公言し、各種の展覧会で公開した兵器を着々と公開することで、韓米の迎撃網を無力化する意図を露骨に示している」「韓米の探知・迎撃能力を補完する必要がある」と指摘した。 ウォン・ソンウ記者

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/01/29/2022012980002.html

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