「ミサイルにはミサイルで」…5年ぶりに韓米協力

 北朝鮮は25日、平壌順安周辺から大陸間弾道ミサイル(ICBM)や短距離弾道ミサイル(SRBM)など3発を東海に向け発射した。今年に入ってすでに17回目の武力挑発で、韓国と日本への歴訪を終えた米国のバイデン大統領が帰国の飛行機に乗っているときに発射された。韓米両国は直ちに安全保障・外交・国防分野高官のルートを全面稼働し、韓国軍が玄武Ⅱ、米軍がATACMSのミサイルをそれぞれ共同で対応発射する非常に密着した形の協力を示した。

  韓国軍合同参謀本部はこの日午前6時、6時37分、6時42分の3回にわたり北朝鮮が平壌順安一帯から発射した弾道ミサイルを捕捉したと明らかにした。最初のミサイルはICBMの火星17型(飛行距離360キロ・高度540キロ)、2回目と3回目のミサイルは「北朝鮮版ATACMS(KN23)」と呼ばれるSRBM(短距離弾道ミサイル)と推定されている。今回の挑発が行われたのはバイデン大統領が専用機「エアフォースワン」で米アンドリュース空軍基地に到着する2時間前だった。バイデン大統領が今回の韓日歴訪中に北朝鮮・中国・ロシアをけん制する発言を続けたことへの不満心理を表現したものとみられる。

  尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領はこの日午前7時30分から就任後初の国家安全保障会議(NSC)を招集し「韓米首脳間で合意された拡張抑止の実行力や韓米連合防衛体制の強化など、実質的な措置を履行せよ」と指示した。韓米両国はこの日、4年10カ月ぶりに地対地ミサイルを実際に発射する連合訓練を行った。

  尹大統領はNSCの席上、北朝鮮による今回のミサイル発射について「韓半島と国際社会の平和に対して脅威となる重大な挑発」と規定した上で▲韓米協力を通じた北朝鮮制裁の徹底した履行▲韓米連合防衛体制の強化-などを指示した。尹錫悦政府の名前で発表した声明でも「北朝鮮による挑発はより強力かつ迅速な韓米の連合抑止力に帰結するしかない」「強固な韓米同盟を基盤に実質的な措置を取る」との内容が含まれていた。

  韓国政府が今回北朝鮮の挑発に対して取った軍事的・外交的措置はいずれも米国との協力を通じて行われた。韓国軍合同参謀本部は午前10時20分ごろ「韓米のミサイル部隊は合同で地対地ミサイルの実射撃を実施し、韓国軍は玄武Ⅱ、米軍はATACMSを1発ずつ東海に向け発射した」と発表した。北朝鮮による挑発を受け韓国軍と米軍が共同で対応するのは2017年7月以来4年10カ月ぶりだ。

  韓米間の安全保障・外交・国防分野の政府高官による協議も立て続けに行われた。この日午前、韓国大統領室の金聖翰(キム・ソンハン)国家安保室長が米ホワイトハウスのサリバン国家安全保障担当補佐官と電話で会談し、その後も韓米の外相と国防相による電話会談が相次いで行われた。金室長とサリバン補佐官は北朝鮮に対して直ちに挑発をやめるよう求める一方、韓米連合防衛体制に基づき効果的に対応することで一致したという。韓国大統領室が伝えた。外相による電話会談では「国連安保理による新たな対北朝鮮制裁決議案採択の必要性」、国防相の電話会談では「米国の戦略資産(兵器)の韓半島展開」「韓米の高官級による拡張抑止戦略協議体(EDSCG)の早期開催」などが議論されたという。

  前日には中国とロシアの爆撃機や戦闘機など6機が韓国の防空識別圏(KADIZ)に無断で侵入したが、北朝鮮による今回のミサイル挑発とそれに対抗する韓米協力が行われたのはその翌日だった。バイデン大統領による韓日歴訪や「インド・太平洋経済枠組み(IPEF)」の発足などとも相まって外交関係者の間では「東北アジアにおいて韓米日対朝中ロの構図が再び明確になりつつある」との分析も出ている。韓国外交部(省に相当)の朴振(パク・チン)長官はこの日、北朝鮮による挑発について日本の林芳正外務大臣とも電話会談を行った。

  一方で尹大統領はこの日午前6時3分に最初の報告を受け、普段より早い午前7時10分ごろに竜山の大統領室に出勤した。普段は髪型を右側に分けて固定しているが、この日はやや乱れた様子だったことから、それだけ状況が緊迫していたとみられる。 キム・ウンジュン記者

朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/05/26/2022052680858.html

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